この記事は2022年7月1日に「月刊暗号資産」で公開された「デジタル通貨フォーラム、ソフトバンクや東京都などが新たに参加」を一部編集し、転載したものです。
金融庁は先月30日付けで、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」を公表した。
内容としては、国内の信託銀行が暗号資産のカストディを可能にするというもので、「信託業を営む者の信託財産」の項目の中に「暗号資産」が加えられている。
これまで、暗号資産(仮想通貨)のカストディサービスは信託会社のみが対応できたが、今後は信託銀行が個別手続きを行い、管理体制の確認を当局が行うことで、カストディサービスを可能とする。国内の信託銀行が暗号資産を管理する上でのリスクに対応できると判断され、今回の内閣府令の改正案に組み込まれた格好だ。8月1日までパブリックコメントを募集し、早ければ今秋にも改正案が施行される。
国内では暗号資産をはじめ、ステーブルコインおよびデジタル資産に関する法整備の動きが加速している。先月3日にはステーブルコインを規制する初めての法律となる改正資金決済法が参院本会議で可決、成立した。これにより、銀行や資金移動業者、信託会社はステーブルコインを発行できるようになっている。
発行可能なステーブルコインは法定通貨建ての安全資産、その他の暗号資産、コモディティの裏付けを持たせることで価値を安定させる「担保型」とされた。なお、銀行法、保険業法、信託業法等においては、投資性の強い預金、保険、信託等の販売・勧誘業務について、金融商品取引法に準じたルールが整備されているところであり、今後、同サービスの提供に関する法律における特定投資家制度についても改正を行っていくことを検討するという。
こうした動きからも、より公正な取引が行われるよう暗号資産に関する法整備がさらに加速化していくものと思われる。
海外ではすでに暗号資産カストディに関する動きが進んでいる。
約40兆ドル(約5,400兆円)の資産を保管し、世界最大規模のカストディアンである米国のバンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)は、2021年に暗号資産取引をサポートするデジタル・カストディ部門を発足。今年中にもカストディサービスを展開する予定だ。また、JPモルガン、シティ、ゴールドマン・サックスもデジタル資産向けカストディ・ソルーションを展開している。
日本においても、野村ホールディングスが2020年にデジタル資産関連企業と3社共同で、デジタル資産を保護する金融機関向けカストディサービス「Komainu」を設立。さらに、昨年10月にはデジタルガレージの子会社でフィンテック分野におけるブロックチェーン金融サービス事業を展開するCrypto Garageとデジタルアセットカストディ事業の協業を検討すると昨年発表するなど、様々な動きを見せている。(提供:月刊暗号資産)