この記事は2022年7月9日に「月刊暗号資産」で公開された「マウントゴックス管財人、債権者に対し弁済手続き開始の書簡送付」を一部編集し、転載したものです。


MT.GOX
(画像=prima91/stock.adobe.com)

2014年に破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所マウントゴックス(Mt.GOX)の管財人・小林信明弁護士は6日、債権者に対して弁済手続きの書簡を送った。

書簡では、「令和3年11月16日付けで東京地方裁判所の認可決定が確立し成立した再生計画に従った弁済に向けて準備を進めております」と報告。債権者に対してオンライン登録をし、希望の弁済方法を入力するよう求めている。

選択としては下記を挙げている。

  1. 早期一括返済
  2. 金銭による弁済の受取方法と受取先情報の登録
  3. 暗号資産債権の一部の弁済を、暗号資産(ビットコインとビットコインキャッシュ)で受け取るか否かの選択
  4. 暗号資産による弁済を受ける場合の暗号資産取引所やカストディアンのユーザー情報の登録

なお、弁済の具体的な日程は記されていない。上記の選択、登録する期限については再生管財人が今後東京地方裁判所の認可を所得して指定し、債権者に連絡する形を取るという。

マウントゴックスの破綻によって大量に消失された85万BTCのうち、回収した約15万BTCを現在保有していると報告されている。当時の価値で約5億ドル。現時点の価格2万1,700ドル(約295万円)に基づけば、現在保有分のビットコインの価値は約2兆5,130億円に相当する。

この手続では、多くの債権者がビットコインを受け取り、すぐに現金化することが予想されている。現在の暗号資産市場では、一時期に比べ価格は反発しているものの、目先の状況に大きな変化はないことから、受け取り後、早期に売却を行う債権者が増える可能性が高まっている。大量の売りは他の投資家を動揺させることにつながり、連鎖的な売りが起こり得る可能性もある。

2014年、当時世界最大級の暗号資産取引所であったマウントゴックスから大量のビットコインが流出し、世界を震撼させた。

当時の市場価格は約5億ドルで、12万7,000人の顧客が被害を受けた。この事件を受け、マウントゴックスは破綻に追い込まれている。(提供:月刊暗号資産