この記事は2022年7月10日に「月刊暗号資産」で公開された「米当局、日本に対しロシアとの暗号資産に関する関係を断絶するよう要請」を一部編集し、転載したものです。
米外交当局者が日本に対して、暗号資産(仮想通貨)交換業者やマイニング業者に対する圧力を強め、ロシアとの関係断絶を要請していることがわかった。7日、英ファイナンシャル・タイムズ(FT)が報じた。
FTによると事情に詳しい複数の関係者が語ったという。日本と関係のあるロシアのマイニング事業に関する情報を日本当局に提供したようだ。
事情に詳しい関係者によると、「米外交官から日本当局への要請は、金融庁から認可を受けている暗号資産取引所のうち少数に向けられたもので、シベリアのイルクーツク地方を拠点とする暗号資産マイニング業務の停止に協力する内容」であったという。
イルクーツク地方は気温が低いことに加え、安価な水力発電が利用できることから、マイニングに適しているとFTは指摘する。以前から違法マイニング業者が多数存在していると指摘されており、この地域の電力消費量は通常の4倍にも膨れ上がっているという。
この要請を受けて、金融庁は国内暗号資産取引所に対し、今もロシアの事業者等と何らかの関係が続いているようであれば中断するよう要請したと国内暗号資産取引所3社の事情に詳しい関係者は語ったようだ。
現在、各国によるロシアに対する圧力は一層強まっている。
日本においてもロシアのウクライナ侵攻以来、欧米諸国と同様にプーチン大統領をはじめとした政府関係者やロシア企業に対する制裁を発表している。今年3月には金融庁が国内暗号資産取引所に対し、制裁下にある個人と団体に関わる口座や取引を監視するよう要請した。その後、同月に岸田政権はロシアによる暗号資産等での抜け道を防ぐ目的で外為法の改正に着手している。
今回の要請は、ロシアの国際的な孤立を一層深める狙いがあるものとみられる。
FTに語った国内暗号資産取引所の幹部によると、多くの国内暗号資産取引所は早い段階でロシアとの関わりを停止していた。しかし、今回の要請を受けてからロシアとの関係を停止した企業もあるという。(提供:月刊暗号資産)