この記事は2022年7月13日に「月刊暗号資産」で公開された「帝人と富士通、リサイクル素材利活用におけるブロックチェーン共同プロジェクト開始」を一部編集し、転載したものです。
帝人株式会社と富士通株式会社は12日、リサイクル素材の環境価値化プラットフォームの実現を目指した共同プロジェクトを同日より開始したと発表した。
共同プロジェクトでは、帝人のライフサイクルアセスメント(LCA)の算定方法や富士通のブロックチェーンを活用したリサイクル素材の利活用および環境配慮設計の実現に向けたプラットフォームの構築と、その市場適用に取り組んでいき、世界共通の目標であるカーボンニュートラルの実現に貢献していくという。
背景として、近年、製造業においては、製粉のライフサイクルを通じたLCAの導入や評価結果の開示、製品やサービスの環境負荷低減に資するか購入者に伝えるマークである環境ラベル所得に向けた対応が求められているという。欧州における環境規制の導入により、企業には厳格な対応が求められていると両社は説明する。
さらに、回収された資源のリサイクル素材を実際に利用しているのかどうかを示す情報の提示や証明を制度化する動きもあり、航空機や電気自動車(EV)など交通輸送分野を筆頭に、産業利用が進む繊維強化プラスチック(FRP)などの材料は高度な環境配慮設計が求められているようだ。
そのため、政府および民間の双方において、廃棄処理に対する規制、リサイクルの技術開発が活性化しているという。
帝人は炭素繊維、アラミド繊維などの製造工程における温室効果ガス(GHG)排出量の算出方法を確立している。一方の富士通はブロックチェーンを活用したシステム構築について実績がある。共同プロジェクトで両社の技術、ノウハウを融合し、リサイクル素材の利活用による環境価値化プラットフォームを立ち上げ、市場適用を図っていく。
プラットフォームの仕組みは、バリューチェーン全体で温室効果ガス排出量を含む環境負荷に関する一次データの収集とトレースにおいて、ブロックチェーンを活用することでリサイクル素材の環境価値の信頼性を向上させる。また、リサイクル素材を用いて製品を設計するメーカーに対し、リサイクル素材の出自の証明、信頼性のある温室効果ガス排出量を含む環境負荷情報を提供することで、メーカーによるリサイクル素材の利活用と環境配慮設計を促進させることができるという。
2022年度内に繊維強化プラスチック領域におけるビジネスの具体化を目標とし、本格的に実証を開始する。その成果をもとに、他素材への展開を検討していくとしている。(提供:月刊暗号資産)