この記事は2022年7月15日に「月刊暗号資産」で公開された「タカ派発言でビットコインなど主要銘柄中心に価格上昇」を一部編集し、転載したものです。
14日の米株式市場は、取引開始当初は売り圧力に押されたものの、米連邦準備理事会(FRB)のタカ派で鳴らすウォラー(Christopher Waller)理事とセントルイス地区連銀のブラード(James Bullard)総裁が利上げ0.75%を支持すると表明したことで安心感が広がり反発。両氏の姿勢により、1%の利上げという積極的な金融引き締め観測が後退した格好だ。
積極的な利上げによるリセッション(景気後退)が起きると懸念している投資家を中心に買いが集まり、小幅下落として収まった。
NYダウ平均は前日比142.62ドル安(0.46%)の30,630.17ドル、S&P500は前日比11.40ポイント安(0.30%)の3,790.38ポイント、ハイテク銘柄中心のナスダックは前日比3.60ポイント増(0.03%)の11,251.19ポイントで終えた。ナスダックはアップルとインテルの上昇に支えられた形だ。市場では経済の方向性を巡り、売り方、買い方双方の思惑が交錯している。
ドル円相場では、一時139円39銭を付け、14日に続き安値を更新。この水準は約24年ぶりのことで、日米の金利差が意識された取引が続いている。
暗号資産(仮想通貨)市場では、記事執筆時点でビットコイン(BTC)が2万ドル(約277万円)台半ばを推移。一時は2万1,000ドル(約291万円)を試す展開も見られたが、同水準に近くと売りが強まる傾向が続く。
マイナーによる暗号資産取引所へのビットコインの送金が5月から6月にかけ約7500BTCと増加していることから、売り圧力になることを懸念する声も挙がる。また、米国にて会社更生手続きを行なったセルシウスネットワーク(Celsius Network)のバランスシートにおいて11億9,000万ドル(約1,650億円)の赤字が掲載されていることが判明したが、市場で目立った反応はなく折り込み済みだったことがうかがえる。
アルトコイン市場ではイーサリアム(ETH)が上昇している。コンセンサスアルゴリズムをルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと変更する大型アップデート・マージ(Merge)が近づくにつれ、投資家の注目を集めている。
14日に開かれたカンファレンスコールで主任開発者Tim Beiko氏が発表したところによると、マージの実施目標は9月19日とのことで、今後さらに注目が集まるものとみられる。
また他のアルトコインでは、暗号資産ユニスワップ(UNI)が米トレーディングアプリのロビンフッド(Robinhood)での取扱い発表を受け、一時前日比約18%の上昇を見せた。
日本時間15日夜には米国における小売売上高の発表が控えている。市場予測では前月比0.9%増が見込まれるが、クレジットカード消費額が減少するという観測もあるため、注視する必要がある。(提供:月刊暗号資産)