この記事は2022年7月15日に「月刊暗号資産」で公開された「経済産業省が「大臣官房Web3.0政策推進室」設置を発表」を一部編集し、転載したものです。


経済産業省
(画像=moonrise/stock.adobe.com)

経済産業省は15日、大臣官房に「Web3.0政策推進室」を設置したことを発表した。

資金調達・税制・事業体(ビークル)などの事業環境担当課室や、コンテンツ・スポーツ・ファッション・アートなどの業種担当課室が一体で、デジタル庁等の関係省庁と協働し、ブロックチェーンを基盤としたWeb3.0に関連する事業環境課題を検討する体制を強化することが目的だという。

暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)などのトークンを基盤とし、ブロックチェーンでユーザーのデータ管理・活用を行い、新しい価値を創出する一環として、Web3.0に取り組む動きがグローバルに広がっている。また、Z世代などを中心にメタバースが新たな個人のインターフェースとなりつつあるなど、デジタル空間の比重が高まり、ビジネス的価値も上昇する可能性があると経済産業省は指摘する。

このような潮流に対し、ポテンシャルとリスクを捉える必要があり、Web3.0の起業家の海外流出を防ぐため、国内の事業環境整備は加速化する必要がある。そうした状況を背景に、経済産業省内で分散する関係課室が一体となって政策立案を行うチームを発足したという。

Web3.0政策推進室では海外での事業環境や、国内での事業環境課題について、事業者、投資家、法曹、エンジニア等から情報の収集を行い、関係府省庁と協力して、事業環境整備に取り組んでいくという。

今年6月、岸田文雄首相は骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2022)を閣議決定し、Web3.0や暗号資産、ブロックチェーンへの環境整備などの取り組みを本格化させている。

経済産業省でもWeb3.0について早くから着目、省内の環境整備に着手していた。先の産業構造審議会総会では、Web3.0に関するレポートの中で「新たな経済活動のフロンティア」とし、「グローバルに稼げる価値創造経済」「誰もが価値創造に貢献し、その見返りを受けられる」「クリエイティブ産業大国としての日本復活」と指摘している。また、世界各国、中でもシンガポール・UAEなどの国では「優遇税制等の支援策により企業誘致が先行している」と述べている。

日本でも税、会計、法制度、知財などに関する法整備についても検討すべきとの指摘が兼ねてより挙がっていた。これまでは個々による調査・議論・実証が行われてきたが、今回、Web3.0政策推進室を設置することで活動の統一化を図ることとなった。(提供:月刊暗号資産