この記事は2022年7月17日に「月刊暗号資産」で公開された「イーサリアムのPoS移行、9月を実施目標に設定」を一部編集し、転載したものです。
暗号資産(仮想通貨)イーサリアムにおける大型アップデート「The Merge(マージ)」の実施予定日が発表された。
これは14日に行われたカンファレンスコールにおいて、イーサリアムネットワークのコア開発者会合を主催するイーサリアム財団のTim Beiko(ティム・ベイコ)氏が提案したもので、公式ページでも発表された。
Beiko氏はThe Mergeの実施予定日について、2022年9月19日を提案。これに対し、コミュニティからの異論が出なかったため、実質的に目標となる日時が決まった形だ。
The MergeはコンセンサスアルゴリズムをPoW(プルーフ・オブ・ワーク)からPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行を行うアップデート。PoSへの移行により、PoWと比較してエネルギー使用量が減少するほか、二酸化炭素排出量も大幅に削減される見込みだ。
開発者のBen Edgington氏は「The Mergeを実施しないとなると、毎日13万トンの二酸化炭素を排出、1週間では100万トンを排出することを意味することになる」と述べ、アップデートの重要性を強調した。
さらに、イーサリアム開発者のSuperphiz.eth氏は、「このスケジュールは最終的に決まったものではなく、あくまでも予定にすぎない」とツイート。その上で、「ショータイムが近づいている。公式発表を期待してほしい」と続けた。
The Mergeはこれまで、Ropsten、Sepoliaの2つのテストネットで実装されている。イーサリアムのメインネットへの実装には、最後のテストネットである「Goerli」での稼働を経る必要がある。
GoerliにおけるThe Mergeの実装予定日は8月11日と設定されている。順調にいけば、9月上旬にも本番環境への実装に向けたクライアントフォーク「Bellatrix」が実施される予定だ。そして、Bellatrix が行われた後、9月19日にイーサリアムのメインネットにおいてThe Mergeが実装されることになる。
先月、イーサリアムの開発者チームはThe Mergeの実施時期について、8月中には行われないことを認めている。そうした背景から、先月末にアップデート・グレイ・グレイシャー(Gray Glacier)を実施し、現状行われているイーサリアムのマイニング難易度を引き上げるディフィカルティボム(難易度爆弾)の発動時期を延期した。
開発者チームによると、イーサリアムのテストネットRopsten、Kiln、Rinkebyの3つはThe Mergeの実施後、閉鎖されるという。
GoerliとSepoliaについては存続する予定だ。存続理由として、Goerliにはコミュニティと多くの既存インフラがあることを挙げている。プロトコルのアップデートをテストするステーカーや既存インフラで機能を検討したい研究者が使用するとしている。
The Mergeの実施が近づくことで、イーサリアムに対するユーザーの期待が今後さらに高まることも予想される。(提供:月刊暗号資産)