Industrial and steampunk style background with clocks and wheels
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前回、実は意図的にあえて触れずに置いたもう1つのオルタナティブ投資の世界がある。なぜ触れずにいたかというと、筆者の知る限りにおいて、その世界は金融の専門家として経験を蓄積したような人でもない限り、迂闊に手を出すべきものではないと考えているからだ。それは単純に「投資リテラシー」が高いか低いかといった話ではなく、実際に金融の現場実務を経験した上で、商品特性やそのリスクを(頭の先っぽではなく)体で理解できているようなレベルでないと、いくら「投資は自己責任でお願いします」といってもまっとうできるとはとうてい思えないレベルのものだからだ。それゆえ、前回は元外資系プライベート・バンクのインベストメント・ソリューション・チーム・ヘッドとしての知見に基づく範囲でオルタナティブ投資を語らせていただいたわけである。つまり、プライベート・バンカーが富裕層、超富裕層の方々に日常的にご提案している範疇での説明ということだった。

では、今回説明するオルタナティブ投資の世界と前回とでは、何が決定的に違うのだろうか。その鍵を握るのが「投資のタイムホライズン(時間軸)」である。