この記事は2022年7月17日に「月刊暗号資産」で公開された「米SEC・ゲンスラー委員長が暗号資産の証券法適用などについて言及」を一部編集し、転載したものです。
米証券取引委員会(SEC)のゲイリーゲンスラー(Gary Gensler)委員長が14日、米Yahoo Financeのインタビューで、暗号資産(仮想通貨)に関する規制と今後SECが取るべき行動などについて見解を語った。
まず、暗号資産を証券法に適用できるかと問われると、ゲンスラー委員長は「一言でいえばイエスだ。証券法では、多くの人の資金を集めている場合、それを投資会社と呼ぶ」と回答。また、証券法の中にある情報開示制度を暗号資産に適用することについて問われると、「一般市民から資金を調達し、その一般市民が企業の努力に基づいて利益を期待するならば対象となる。私は暗号資産業界に対し、融資プラットフォームや取引プラットフォームについてSECに来て話をするように言っている。トークンについては開示内容もそれに合うようにカスタマイズ可能だ」と述べ、前向きな姿勢を示した。
その上で、「重要なのは完全に公正な情報を開示することで、絶対に欺いていないことを証明しなければ投資家の保護にはつながらない」と語っている。
さらに、株式証券に適用される保護をそのまま暗号資産に適用することは可能かと問われると、ゲンスラー委員長は「非準拠のプラットフォームやトークンの可能性があるから適用することは現状できない」と答えた。同氏は続けて、「SECにはしっかりとした法律と規則がある。また、私たちはルールを作成し、適用除外の権限を行使することもできるが、暗号資産の分野ではコンプライアンス違反が主な原因で一般市民の保護ができていない」と、現状では投資家保護の困難さ、まだ暗号資産業界が未成熟であることを理由として挙げた。
こうした課題解決に向け、規制策定に対し積極的な行動をすべきではないかと問われた際には、「SECは取引所や融資、ブローカー・ディーラーの3つの分野で活動する業界参加者とコンプライアンスやその変更方法について話し合っている。また、銀行規制当局やCFTCらとも議論を進めている状況だ」と答えている。
米ドルに裏付けられたTerraUSD(UST)の価格崩壊をきっかけに、現在世界的にステーブルコインに関する規制策定への関心が高まっている。
こうした背景から、ゲンスラー委員長はステーブルコインについても「様々な検討を進めている」と説明。現状のステーブルコインについて、「カジノのポーカーチップのようなものだ。投資家保護、詐欺や不正行為から保護する必要がある。そのためにはあらゆる法律に照らし合わせて進める必要があり、議会が介入することが適切だ」と述べた。(提供:月刊暗号資産)