この記事は2022年7月26日に「月刊暗号資産」で公開された「ドバイ、4万件の雇用創出とGDPの底上げを目指す「メタバース戦略」を発表」を一部編集し、転載したものです。


ドバイ
(画像=yujistyle/stock.adobe.com)

ドバイ首長国連邦(UAE)のシェイク・ハムダン・ビン・モハメド皇太子は18日、「ドバイ・メタバース戦略」を発表した。

この戦略では、今後5年間で4万件の雇用をメタバース上で創出するほか、すでに1,000社以上あるブロックチェーン関連企業の数を5倍にすることを掲げている。また、メタバース経済圏の確立により、ドバイのGDPを40億ドル(約5,500億円)相当底上げすることを目指すという。ドバイのメタバース経済圏を世界トップ10の規模にまで成長させることを目標とする。

今後、イノベーションの促進と研究開発協力を通じて、メタバースがもたらす経済的貢献を高め、企業やプロジェクトを誘致するアクセラレーターやインキュベーターを活用した先進的エコシステムを促進していくという。その上で、メタバースの開発者やコンテンツクリエイター、デジタルプラットフォームのユーザーを対象としたメタバース教育において必要なサポートを行っていくとしており、インフラおよび規制整備を加速させていく方針だ。

国営通信・Emirates News Agencyによると、ハムダン皇太子は「ドバイがメタバース技術の世界的なテストベッドとして地位を高めている一方で、メタバースコミュニティのために地域で最も堅牢かつ最大のエコシステムを構築するための能力と才能を高めるために賢明な投資を行い、大きな前進を遂げてきた」と述べ、これまでの成果を強調した。さらに、「新しい技術を採用することは、将来重要な分野で新しいワークモデルを生み出し、地域および世界経済へのメタバースの影響を増大させるというドバイのビジョンにもつながる」と続けている。

Bloombergの報道によると、すでにエミレーツ航空がメタバースへの参入を明らかにしているほか、不動産大手Damacグループがデジタル都市の構築を検討、さらにヘルスケア大手のThumbayも今後数ヵ月以内にメタバース上での医療診察を展開する計画だという。

ドバイではこれまでもメタバース等に関する様々な動きが見られてきた。今年5月、ドバイの暗号資産(仮想通貨)に関する規制当局が、「The Sandbox(ザ・サンドボックス)」のメタバース上にメタバース本部を設置したと発表している。

また昨年12月は、ドバイ世界貿易センター(DWTC)を、デジタル資産やサービス、取引所を含む暗号資産に関する規制機関にすることを発表。その後、バイナンス(Binance)やクラーケン(Kraken)などといった大手取引所に対してライセンスを付与し、ドバイ国内における暗号資産領域の活性化と拡大を図っている。(提供:月刊暗号資産