マンション経営には知識や経験が必要になるということは、資格も必要?との疑問を持つ方が多くおられます。医師になるには医師免許、車の運転を仕事にするには運転免許といったように、それがなければ仕事に就けないような資格はないとしても、あったほうが成功しやすい資格があるのであれば取得を検討したいとお考えではないでしょうか。
マンション経営は不動産の購入を伴う事業だけに、何としても失敗は避けたいものです。資格を取ることで成功しやすいのであれば、そのための努力を惜しまないという方々に向けて、マンション経営と関わりのある資格と、成功のために必要なものについて解説します。
目次
1.マンション経営に「資格」は必要か
マンション経営で有利になる「資格」には、どんなものがあるのでしょうか。そもそもマンション経営に資格は必要なのかも含めて、マンション経営と資格の関係について解説します。
1-1.マンション経営に必須の資格はない
最初に結論から述べると、マンション経営に必須の資格はありません。医師や弁護士、税理士などの職業は資格のない人がその仕事をすると法律違反になってしまいますが、マンション経営は何の資格も持っていなくても罪に問われることはありません。
しかし、資格はその人の知識やスキルの証明です。マンション経営ではさまざまな知識が必要になるため、それらに関連する資格を取得していると知識が味方になってくれる場合があります。
もっとも、マンション経営には特有の知見やノウハウがあるため、それを持っているほうがはるかに有利です。それは本やネットの記事だけでは手に入らないので、最終的にはマンション経営に強い不動産会社を味方につけることが最重要です。この点については絶対に外せないので、順次解説していきます。
1-2.マンション経営には年齢、性別の制限もない
マンション経営に必須の資格はありません。それだけでなく、マンション経営には年齢や性別などの制限もありません。物件を買うことができる資金や融資の審査に通る信用力があれば、誰でも始めることができます。
この意味で、不動産投資家は資格を必要とする職業よりも自由で開かれた職業といえます。株やFXなど、ほかの投資では融資を利用することができませんが、マンション経営は銀行など金融機関の融資を利用することができるため、今すぐマンションを購入する資金がなくても始めることができます。
1-3.資産家でなくても参入できる
マンション経営は自由で開かれた投資であると述べましたが、以前からそうだったかというと、そんなことはありませんでした。やはり不動産経営は先祖からの土地や建物がある人、つまり資産家のものという側面が強く、一般のサラリーマンなどにとっては縁遠いものでした。
しかし、今は違います。安定的な収入があれば融資に通りやすいため融資を利用してマンションを購入することができますし、本やネットなどから平等に不動産の情報が手に入る時代です。さらに、不動産投資に強い不動産会社があるので、こうした会社をパートナーにすることでプロのアドバイスやサポートを受けながら有利な環境でマンション経営ができます。
資産家でなくても参入できることは、今の時代を生きる私たちにとって大きなメリットといえるでしょう。
1-4.マンション経営に役立つ資格4選
必須ではないとはいえ、持っているとマンション経営に役立つ資格はあります。ここではそのうち4つを厳選して紹介します。
1-4-1.宅地建物取引士
通称「宅建」と呼ばれる不動産業界の有名資格です。不動産業を営むにはこの宅地建物取引士の資格がなければならないため、売買や仲介などをしている人には必要となる資格です。
マンション経営をする人は不動産業者ではなく投資家なので、宅地建物取引士の資格が必須ではありません。しかし不動産を取り扱ううえで必要になる知識を網羅している資格であり、不動産会社との付き合いで専門用語などを理解しておくことは有益です。
物件についての重要事項説明を受ける際にも資格に関連する知識があればスムーズでしょうし、潜在的なリスクを察知できるかもしれません。その意味では、持っておいて損はない資格です。
1-4-2.ファイナンシャルプランナー
「FP」と略して呼ばれることの多い資格で、ファイナンシャル(金融)をプランナー(計画)するのがファイナンシャルプランナーです。ファイナンシャルプランナーの資格試験を実施している日本FP協会はこの資格について、以下のように定義しています。
(引用元:日本FP協会「ファイナンシャル・プランナー(FP)とは」)
相談者の「お金」に関する総合的なアドバイスをする職業なので、そのなかには教育資金や老後資金、住宅資金などのお金づくりや資産運用、税制なども含まれます。こうした知識は不動産投資家として自らの資金計画や資産運用などにも役立つでしょう。
1-4-3.マンション管理士
マンション管理士は公益財団法人マンション管理センターが実施している、国家資格です。名称のとおりマンション管理の専門家を認定する資格で、おもな仕事内容はマンションの管理組合に対するアドバイスやコンサルティングです。マンション経営には管理が付き物なので、マンション管理士の資格は管理を理解するうえで役立ちます。
マンション管理は専門の管理会社に任せるのが一般的ですが、その場合であっても管理者の立場になって問題点などを理解できるようになります。
1-4-4.賃貸不動産経営管理士
マンションやアパートなど賃貸住宅管理の専門家を育成することを目的に設けられている資格です。当初は民間資格として運営されてきましたが、2021年4月の国土交通省令において国家資格に移行しました。賃貸住宅管理に関するトラブルが増えていることを受けて、国家資格に格上げすることでこの分野の専門家を多く育成する必要があるとの思惑があるようです。
賃貸不動産経営管理士の資格を取得すれば、有資格者として不動産業界で活躍できる道が開かれますが、マンション経営の当事者としても自己管理をしたい場合などにノウハウが役立ちます。
2.「資格」は不要でも知識は必要
特定の資格がなければマンション経営はできない、ということはありません。しかしながら、知識は重要です。それではどんな知識があるとよいのか、知っておくべき知識について個別に解説します。
2-1.知識の有無がマンション経営の成否を決める
何事にも、その道のプロがいます。それぞれの分野のプロたちは豊富な知識と経験を武器にその世界で身を立てているので、知識と経験は財産です。ギャンブルは運任せの部分が大きいので初心者がいきなり大勝ちすることもあると思いますが、運のウェイトが低いものは知識や経験がすべてといってもよいでしょう。
経験豊富なプロボクサーにボクシング未経験の人が挑んでも勝ち目がないことを考えると、イメージしやすいのではないかと思います。
マンション経営の世界にも、同じことがいえます。知識や経験がない状態で参入しても優良な物件を見極められないでしょうし、適切な資金計画を立てるのも難しいでしょう。入念の準備をしてこそ、成功が見えてくるというものです。
2-2.マンション経営に必要な知識とは
マンション経営を始めるのにあたって、それではどんな知識があるとよいのでしょうか。不動産投資のプロが武器としている知識を軸に、項目別に解説します。
2-2-1.不動産に関する基本的な知識
一口に不動産といっても、その種類はさまざまです。マンションやアパート、戸建て住宅、さらにはオフィスビルや駐車場など、取り扱う不動産が違えば対象となる「顧客」も異なります。それぞれの不動産がもつ特性や物件の探し方、選び方を最初に知っておく必要があります。
端的にいえば、不動産に関する知識を投資家目線で理解しておく、ということです。
2-2-2.賃貸経営に関する知識
マンション経営を含む賃貸経営には、必ず顧客となる入居者がいます。入居者との向き合い方を含めて賃貸経営に関する全般的な知識も重要でしょう。特に重要なのは、賃貸経営に伴う支出の内訳と費用感です。これがわからなければ適切な家賃設定もできないので、賃貸経営の成否に直結する知識です。
2-2-3.個人事業に関する知識
専業投資家であれば別ですが、サラリーマンなど別の本業を持っている人がマンション経営に参入する場合、個人事業の形になることが大半だと思います。個人事業としてマンション経営をすると、税金や確定申告、経費に関する知識が必要になります。税理士に委託するとしても自分で知識を持っておくことは重要なので、理解しておきたい知識です。
2-2-4.物件の良し悪しを判断できる知識
不動産は1つとして同じものが存在しないため、すべてが「一点もの」です。そのため物件の良し悪しについてもケース・バイ・ケースになり、そこからよいものを見つけるには目利きが必要です。
目利きについては経験から得られる部分が多いので、初心者がいきなり良し悪しを的確に見極められるかというと、正直なところ難しいでしょう。
目利きについてはプロに任せるのが一番なので、物件を提案してくれる不動産会社に期待したい部分です。不動産会社のなかでも不動産投資、マンション経営に強い会社であれば豊富な経験に基づく提案をしてくれるはずです。物件選びはマンション経営の成否を決めるといってもよいほど重要なプロセスなので、しっかり目利きを発揮してくれる不動産会社を味方につけたいところです。
2-3.リスクに関する知識も重要
マンション経営は元本保証の投資ではありません。事業である以上、リスクは付き物です。しっかりリスクを管理して安全性を高めるためには、リスクに関する知識が必要になります。
2-3-1.空室リスク
マンションに限らず不動産投資の大敵は、空室リスクです。どんなに優れた物件であっても入居者がいなければ家賃収入はゼロです。しかも融資を利用して物件を購入した場合、家賃収入の有無にかかわらず返済は続きます。
いかに空室を発生させないか、空室になってもすぐに次の入居者が入るようにするかは収益性に直結するため「空室になりにくい物件」「空室になってもすぐに埋まる物件」を選ぶことや、効率よく入居者を募る方法など、ここでもやはり不動産会社の力量が表れます。
2-3-2.家賃滞納リスク
せっかく入居者が付いていても、その入居者がきちんと家賃を支払ってくれなければやはり収入がゼロになってしまいます。このリスクは家賃滞納リスクと呼ばれますが、家賃滞納はすべての不動産投資家にとって他人事ではありません。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の日管協総合研究所が定期的に発表している「日管協短観」には滞納率のデータがあるのですが、それによると2020年10月から2021年3月までの「月初め滞納率」は首都圏で4.1%、関西圏で8.2%、全国平均では5.0%という結果になっています。
月初滞納率は月初のタイミングで前月末に家賃が支払われていない比率を示すもので長期的な滞納とイコールではありませんが、少なからず期日までにきちんと家賃を支払わない入居者がいることは間違いありません。
2-3-3.入居者トラブルのリスク
マンション経営は人を相手にする事業なので、人間由来のトラブルのリスクがゼロにはなりません。オーナーと入居者のトラブルだけでなく、マンションの場合は騒音や生活マナーなどに起因する入居者同士のトラブルも考えられます。これらは退去につながる可能性やさらなる問題の深刻化もあり得るため、リスク要因として留意しておく必要があります。
2-3-4.金利変動のリスク
日本は長らく超低金利が続いています。この超低金利は住宅ローンを組んでマイホームを買ったり、不動産投資ローンを組んでマンション経営に参入したりするといったことへの追い風であるといわれてきました。
変動金利型のローンを組んでも金利が上昇しなければ問題はないのですが、近年では金利が上昇に転じる傾向が見られます。米国ではインフレ抑制のために利上げをしたこともあって長期金利が3%台に上昇することもあるなど、金利上昇が顕著になっています。
これが日本にも波及して金利が上昇すると、当初の返済計画に狂いが生じる可能性があります。これからマンション経営を始める方、特にローンの利用を前提にしている方は考慮しておくべきリスクです。
3.マンション経営に必要な知識を得る方法5選
マンション経営に必要な知識を効率よく得るには、どんな方法があるのでしょうか。ここでは5つの方法を伝授しますが、最終的に成否を決めるのが5番目の項目だと思うので、特に5番目については強く意識していただければと思います。
3-1.初心者向けの不動産投資本
不動産投資家や不動産の専門家が著者となっている「不動産投資本」はたくさんあります。書籍は読む人のレベルに合わせて体系的に知識が整理されているので、初心者の方には特におすすめの勉強法です。
アマゾンで「不動産投資」「マンション経営」などのキーワード検索をするとたくさんの不動産投資本がヒットするので、レビュー評価が高いものを中心に購入して読んでみてはいかがでしょうか。
3-2.ネット記事
不動産投資やマンション経営に関するネット記事も、勉強に役立ちます。書籍と違って無料であることが最大のメリットで、知りたいキーワードを検索するとそれに応じて情報をピンポイントで得ることができる意味でも優れています。
ただし書籍レベルの情報が1本の記事にまとめられているわけではないので、書籍で学んだうえでさらに知りたいことを検索して補完するのがおすすめの利用法です。
3-3.セミナー(オンラインセミナーも含む)
書籍やネット記事に加えておすすめしたいのが、不動産投資やマンション経営に関連するセミナーです。コロナ禍の影響もあって対面だけでなくオンラインセミナーもあるので、大都市圏にお住まいではない方も自宅に居ながらにして受講することもできます。
説明のプロからの話を聞けるのでわかりやすいことがメリットですが、こうしたセミナーの多くは不動産投資会社といって収益物件をおもに手がける不動産会社が開催しているものが多く、情報が偏っていることもあるため、その部分を計算に入れて話を聞くようにするのがコツです。
フラットな視点を維持する意味で、複数の不動産会社が開催しているセミナーを受講してみることをおすすめします。
3-4.現役オーナーのブログ、SNS
実際にマンション経営に取り組んでいる投資家が、自身のブログやSNSで日々の出来事や思いを綴っていることがあります。こうした情報は無料であり、なおかつプラス面だけではないリアルな情報に接することもできるので、マンション経営を始めた自分の姿に重ねることもできます。
3-5.マンション経営に強い不動産会社
先ほど少し触れた不動産投資会社は、不動産投資家やその予備軍を顧客とする不動産投資のプロです。セミナー開催や個別相談会、ネットメディアなどを活用して情報発信をしている会社もあるので、こうした会社との接点を持つことも有効な方法です。
というのも、マンション経営に必要な知識や経験を一夜にして得ることは不可能で、特に初心者の場合は失敗を避ける意味でもプロを味方につけることが極めて重要です。そのプロが誰なのかというと、ほかならぬ不動産投資会社です。
マンション経営を目指すのであればマンション経営を得意としている不動産投資会社を選び、その豊富な経験から得られる提案や収支のシミュレーション、資金計画などをいかして物件を購入するのが成功への早道です。極端にいえば、優秀なパートナーさえ見つけることができれば、最初から知識を持っていなくても成功できるのが不動産の世界です。
4.まとめ
マンション経営に必須の資格はありませんが、あれば役立つ資格は存在します。これらの資格を取得するために勉強したことが実際の賃貸経営に役立つ場面はあるでしょうし、知識が無駄になることはありません。
しかしそれ以上に重要なのが、マンション物件を提案してくれる不動産投資会社というパートナーの存在です。極端にいえば優秀なパートナーさえ見つけることができれば投資家自身はあまり知識がなくても成功できるのが不動産の世界なので、このことも意識して情報収集をすることをおすすめします。
(提供:Dear Reicious Online)
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