この記事は2022年8月12日に「月刊暗号資産」で公開された「デジタル通貨フォーラム、ソフトバンクや東京都などが新たに参加」を一部編集し、転載したものです。
渋谷区は9日、キャッシュレス決済アプリ「ハチペイ」とコミュニティアプリ「ハチポ」を活用したデジタル通貨プロジェクトを2022年度中に開始することを発表した。株式会社カヤック、株式会社ポケットチェンジ、株式会社JCBと協業するという。10日より、各種店舗、企業、施設など区内事業者に向けて説明会を開催する。
カヤックの発表よると、2019年9月、神奈川県「SDGsつながりポイント事業」で「まちのコイン」が導入され、現在では18地域にサービスを提供しているが、決済アプリとの連携は今回が初めてとなるという。
ハチペイはカヤックとポケットチェンジが共同開発する。銀行ATMやクレジットカードからチャージし、日本円の代わりに支払うことが可能だ。1ポイントは1円で、プレミアム付き商品券や各種割引などのインセンティブが得られるという。QRコードやスマートフォンをかざして情報を読み取ることのできるJCBの非接触型ICタグ「NFCタグ」を活用した決済が可能だ。
ハチポはカヤックが開発したコミュニティコインサービス「まちのコイン」を活用したコミュニティコインアプリで、換金性はない。デザインには、渋谷区観光協会の公式キャラクター「SHIBUYA♡HACHI」を起用。渋谷駅のシンボル「忠犬ハチ公」として渋谷の街を見守り続けてきたHACHIが、たくさんの人たちを案内するためにキャラクターとして誕生した。
今回の事業では、忠犬ハチ公と、決済アプリを表す「Pay(ペイ)」が合わさった「ハチペイ」、地域活動を通じ散歩(さん“ぽ”)したり、様々な人達と一緒に歩んで欲しいという思いを込めた「ハチポ」のキャラクターとして起用し、渋谷区独自のデジタル通貨の取り組みをユーザーに伝えていくという。
取り組みを開始した背景には、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で渋谷区のサービス業、小売業、劇場やライブハウスなどが大きなダメージを受けていることがある。新たな顧客・来客数の増加を目指し、渋谷区独自のデジタル地域通貨事業の実施が決定されたという。
このハチポとハチペイには互換性がある。ハチポのコインをハチペイのポイントに交換することができるほか、逆にハチペイのポイントをコインに還元することが可能だ。
このハチポでは、イベントやボランティア活動への参加などといった地域活動を通じてコインを獲得することができる。ユーザーはコインを使い、特別なサービスや体験を楽しむことが可能となっている。
過去には、鎌倉市において寺などの掃除を手伝うことで300ハチポが付与されているほか、カフェでドリップコーヒーの淹れ方を教えて貰うのに1,000ハチポ支払うなどといった事例がある。
カヤックによると、現在、渋谷区民限定でマイナンバーカードの読み取りによる区民認証を通じたキャンペーンを計画しているという。(提供:月刊暗号資産)