この記事は2022年8月23日に「月刊暗号資産」で公開された「FTX、2021年収益は前年比1000%増の10億ドル超に」を一部編集し、転載したものです。
サム・バンクマン・フリード(Sum Bankman-Fried)氏率いる暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの2021年の収益が、前年比1,000%増以上の約10億2,000万ドル(約1,400億円)を計上したことがわかった。20日、米CNBCがリークされた監査済みの財務資料を元に報じた。
CNBCが入手した監査済みの財務資料によれば、FTXは昨年、グローバルに展開する暗号資産取引事業により急成長を遂げたという。
2020年に8,900万ドル(約122億円)だった収益は、昨年は10億2,000万ドルを超えた。営業利益は2億7,200万ドル(約373億円)で、前年の1,400万ドル(約19億円)から大きく増加した形だ。
また、FTXの昨年の純利益は3億8,800万ドル(約533億円)で、一昨年の1,700万ドル(約23億円)から大きく成長した。さらに、2021年末までに25億ドル(約3,430億円)の現金を保有し、利益率は27%であったという。広告費や関係企業経費を除くと、利益率は50%に近かったようだ。
資料によると、FTXは2021年に収益の約15%を広告やマーケティングに費やした。また、米国法人のFTX USにおける事業収益は、FTX全体の5%に過ぎないという。
CNBCによると、FTXは2022年第1四半期に2億7,000万ドル(約370億円)の収益を得た。収益の約3分の2は先物やオプションなどデリバティブ取引手数料で、約16%がスポット取引(現物取引)によるものだったようだ。一時は約11億ドル(約1,510億円)の収益がもたらされる勢いだったという。
しかし、近頃の市況を受け暗号資産価格が下落したこともあり、第2四半期の収益にも影響を与えるものとみられている。
例として、FTXの競合に位置付けられる大手暗号資産取引所コインベース(Coinbase)は強気相場の昨年、74億ドル(約1兆円)の収益、36億ドル(約4,940億円)の純利益を記録した。それでも、今年第2四半期は取引量が減少したこともあり、前年同期比64%減の8億830万ドル(約1,110億円)の収益、11億ドルの純損失が出たと報告している。
暗号資産市場が低迷する中でもFTXは事業拡大を進めている。7月には企業買収のため、資金調達を計画していることも明らかとなっていた。
また、FTX.USとFTX本体は今年に入り共に4億ドル(約550億円)の資金調達ラウンドに成功している。(提供:月刊暗号資産)