この記事は2022年8月26日に「月刊暗号資産」で公開された「米コインベース、独自トークン「cbETH」を発表」を一部編集し、転載したものです。


coinbase,コインベース
(画像=Wirestock/stock.adobe.com)

米暗号資産(仮想通貨)取引所のコインベース(Coinbase)は25日、イーサリアムのステーキングを行うことで取得可能なERC 20トークン「コインベース・ラップド・ステーキング・イーサリアム(cbETH)」のローンチを発表した。

これにより、コインベースのユーザーはイーサリアムのステーキングしながら実質的にイーサリアムの取引・運用が可能となる。cbETHは流動性が確保でき次第、取引可能な地域での取引が開始される。

ラップドトークンとは、資産の価値を特定のブロックチェーンから別のブロックチェーンに移動させることを可能とするものだ。例として、ラップド・ビットコイン(WBTC)はビットコイン価格に連動しながら、イーサリアムブロックチェーン上で利用が可能となっている。これにより、DeFi(分散型金融)において実質的にビットコインの取引を行うことができる。

通常、ラップドトークンは原資産の価値に裏付けられ、価格も裏付けられた原資産に追随する。しかし、cbETHはコインベースにステーキングで預け入れられたイーサリアムとそれに上乗せされる利子を示した価格になるという。

コインベースはツイートで、「cbETHの価格はイーサリアムの価格に追随するものではない。コインベースでステーキングされたイーサリアムと利子を反映させたもので、6月16日(日本時間6月17日)より利子計算は始まっている」と述べている。

コインベースは発表したホワイトペーパーで「私達の希望はcbETHが取引、転送、DeFiアプリケーションでの使用のために採用されること」と説明している。

cbETHを取得できる対象ユーザーは段階的に増やしていくとし、イーサリアムをステーキングしているユーザーは、コインベースのWebサイトを通じて、cbETHを受け取ることができるという。

現在、ステーキングを行いながらラップドトークンの運用をDeFi上などで行うリキッドステーキングに注目が集まっている。

一方で、リキッドステーキング市場ではLidoが提供するリド・ステーク・イーサ(stETH)が大多数を占めている。Lidoを通じてステーキングされたイーサリアムは全体の30%にものぼるとされており、コインベースはその現状をセキュリティの観点などから懸念しているという。

こうした背景から、健全な競争を行う意味で今回コインベースはcbETHのローンチを決定したと述べている。(提供:月刊暗号資産