この記事は2022年9月1日に「月刊暗号資産」で公開された「米司法長官事務所、米マイクロストラテジーのセイラー氏を脱税容疑で提訴」を一部編集し、転載したものです。
ワシントンD.C.(DC)の司法長官事務所(OAG)は8月31日、米マイクロストラテジー(MicroStrategy)の創設者であるマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏が同社と共謀し、15年以上にわたり所得税を違法に逃れ、支払い業務を免れていたとして提訴したことを発表した。
発表によると、セイラー氏の脱税を手助けしたとしてマイクロストラテジーも被告の対象となっている。
OAGは、セイラー氏が個人所得税のないフロリダ州に住んでいると偽ることで、本来であればワシントンD.C.に納めなければならない2,500万ドル(約35億円)以上の税金を違法に免れたと主張している。また、マイクロストラテジーはセイラー氏がワシントンD.C.の居住者であることを知りながら連邦税務当局に住所を正確に報告せず、同氏の脱税を促したと申し立てている。
OAGは今回の訴訟で、脱税した分の支払い2,500万ドルに加え、セイラー氏とマイクロストラテジーに総額で約1億ドル(約140億円)を超える罰金を課すという。
今回の容疑に関してOAGは、多額の脱税に関する内部告発を行った者に対し、ワシントンD.C.が回収した税金の一部を報酬として渡すことができる制度ができたことによる成果だと述べている。この報酬は最大で30%にも及ぶ。
OAGは「この訴訟は、ワシントンD.C.居住者が居住地を偽って税法を回避した事例を報告するよう内部告発者を奨励する最近成立した虚偽請求法の権限に基づき起こされた最初の訴訟となる。メンデルソン議長が主導し、議会は全会一致でこの法律を可決し、OAGに執行の権限を与えた」と説明。また、「この法律で裁判所は脱税者に“3倍賠償”、つまり脱税額の3倍の賠償金を課して罰することができるようになった」と付け加えている。
さらに、訴状にはセイラー氏の社用ジェット機の飛行記録や、位置情報が付与されたソーシャルメディアへの投稿の詳細が記載されているようだ。
発表によると、今回の内部告発社はセイラー氏が友人などにワシントンD.C.での脱税を公然と自慢し、他の人に対しても脱税を勧めていたと記している。
セイラー氏は先月8日付けでマイクロストラテジーのCEOの職を退いた。その後、取締役会長兼役員に留まり、同社のビットコイン投資戦略に注力する意向を示していた。
同氏の純資産は10億ドル(約1,400億円)以上と推定され、2005年以降、経常利益とキャピタルゲインで数億ドルを得ているという。(提供:月刊暗号資産)