この記事は2022年9月2日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコインなど主要暗号資産、米雇用統計の発表控え方向感欠ける動き」を一部編集し、転載したものです。
日本時間1日夜に発表された米ISM製造業景況感指数は52.8となり、予想の51.9を上回った。好景気を示す結果となったため、株式市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げペースが加速するとの懸念から米長期金利が上昇した。
その影響もあり、ドル円相場では急速に円安が進行。1998年8月以来、24年ぶりの140円台という円安水準に達した。
パウエルFRB議長は先月26日に行われたジャクソンホール会議で、高インフレを抑え込むため、金融引き締めについて「やり遂げる」と強い姿勢を示した。同氏は利上げについて「データ次第」としているが、今回発表されたISM製造業景況感指数は金融引き締めを後押しする結果になったと言える。
米株式市場は一時下落したが、その後持ち直した。NYダウ平均は前日比145.99ドル(0.46%)高の31,656.42ドル、ナスダックは前日比31.08(0.26%)ポイント安の11,785.13ポイント、S&P500は前日比11.85(0.30%)高の3,966.85ポイントで終えている。
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)は、重要指数の結果を受けて一時は1万9,000ドル(約266万円)台に下落したが、すぐに買い方が入り2万ドル(約280万円)台に戻している。しかし、2日のアジア時間に入ってからは方向感の見えない動きが続いている状況だ。イーサリアム(ETH)の大型アップデート「マージ(The Merge)」が近づいているが、金融引き締め動向も影響し現時点で相場全体の浮揚にはつながっていない。
また、日本時間2日夜に発表される米雇用統計も上値を重くしている要因だ。
先月発表された7月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が52.8万人増と市場予想の25万人増の2倍となり、景気後退感が和らいだ。失業率は6月の3.6%から3.5%に低下し、平均時給は6月から0.5%高くなった。
ロイターの調査によると、2日に発表される非農業部門雇用者数は30万人増加する見通しだという。モルガン・スタンレーのエコノミストは35万人増を見込んでいる。LPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジストは、「売りが止まるには賃金の数値が弱くなる結果が必要」と指摘している。
来週には欧州中央銀行(ECB)理事会が控えており、さらに13日には米CPI(米消費者物価指数)も発表されるため、米雇用統計の結果が良好だとしても様子をうかがう状況となる可能性が考えられるだろう。
また、今月20・21日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるため、金融市場は重要指標の結果を受けたFRBの金融引き締め動向を推察しながら市況を見守ることになるとみられる。(提供:月刊暗号資産)