年齢を重ねるほどに「会社だけの人生で終わりたくない」「新たな価値やサービスを生み出したい」といった思いがつのる人も多く、50代で起業する人は少なくない。「若くない」ことによるデメリットがある一方、メリットもある。本稿では、50代だからこその「起業のコツ」を探る。
50代で起業する人は約3割
日本政策金融公庫総合研究所が2021年11月に行った「2021年度起業と起業意識に関する調査」によると、回答者のうち起業家や起業に関心を持つ人は30代以下で約43%を占めているが、50代以上も約27.7%と約3割を占める。
<起業家・パートタイム起業家の起業時の年齢および起業関心層の年齢>
29歳以下 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代以上 | |
起業家 | 21.8% | 21.2% | 29.4% | 27.7% |
パートタイム起業家 | 39.3% | 21.5% | 17.8% | 21.3% |
起業関心層 | 25.4% | 25.6% | 25.8% | 23.2% |
出典:日本政策金融公庫 総合研究所「2021年度起業と起業意識に関する調査」※この先は外部サイトに遷移します。より株式会社ZUU作成
パートタイム起業家とは、事業に充てる時間が1週間あたり35時間未満の人を指す。会社員としての勤務後や家事・育児のスキマ時間に事業を行う人もいる。
50代で起業する際の成功のコツとは?
では、50代で起業して成功するためのコツについて説明していこう。紹介するのは以下の3つのコツだ。
①「自分史」をつくる
②これまでの経験から「やりたくないこと」をリスト化する
③「若者」「トレンド」から学ぶ姿勢を持つ
①「自分史」をつくる
自分の生まれたときから学生時代、社会人時代という流れを、一旦「自分史」という形式でまとめることを推奨したい。その第一の理由は、自分史を作成していくと自分の経験やスキルなどを棚卸しすることができるからだ。経験やスキルを整理し、起業時にそれらを生かせるように事業を設計すれば、成功確率は上がる。
自分史は「時系列」でつくり、各項目の内容は細かければ細かいほどいい。「どこの大学に入学したか」「どの企業に入社したか」だけではなく「その大学で何をしたか?」「その企業で何をしたか」が記載されなければ、自分が持っている経験やスキルが細かく可視化されないからだ。
また自分史には、私生活についても盛り込んでいくべきだ。初恋、結婚、子供の誕生、離婚、住宅の購入、親との死別……。それらの節目で自分が何を感じ、何を課題に思ったのかを書ければ、そこから新ビジネスのヒントが生まれるかもしれない。
例えば、結婚したあとに良い夫婦関係を築くのに苦労したとしよう。このように感じる人が世の中に多ければ、この課題を解決するためのサービスを創り出すことは、起業家としてチャレンジする価値があるかもしれない。
②これまでの経験から「やりたくないこと」をリスト化する
起業してどんなビジネスに取り組むかを考えるとき、「何をするか」に重きを置きがちだ。しかし「何をしないか」「何をやりたくないか」を整理しておくことも非常に重要だ。がむしゃらに何も考えずに事業を展開し、予期せず「やりたくないこと」が業務の大半を占めるようになってしまうと、仕事へのモチベーションは上がるだろうか。
これまでの社会人生活を振り返り、自分がストレスを感じたこと、どうしてもやる気が起きなかったこと、自分の道徳的にしたくないこと、などを以下の例のように挙げてみよう。
- 接待ありきで新たな契約を獲得すること
- 会社の中にばかりいて、外勤があまりないこと
- 下請け企業にかなりのコストカットを強いること
箇条書きにしてみたが、もちろん挙がる項目は人それぞれだ。あなたの場合はどうだろうか。
③「若者」「トレンド」から学ぶ姿勢を持つ
①と②では自分に向き合ってきたが、50代になるまでの経験や身についているスキル、自分の性格や考え方だけを分析してビジネスの方向性を決めるのは危険だ。ビジネスは顧客がいて初めて成立する。いくら自分に合ったビジネス、自分がやりたいことでも、他人に受け入れられるビジネスでなければ本末転倒だ。
そのため、いま現時点のトレンドなどを積極的に知っていくようにしよう。特に、これからの時代に消費の主役になっていく若者たちがどのような考え方を持ち、どのような製品やサービスを趣向しているのかは、非常に重要な情報となる。
自分より若い世代から学ぶという「謙虚さ」や「柔軟性」を持つようにしよう。
50代だからこそのメリット・デメリット
50代で起業する際の成功のコツを説明してきた。50代でもうまくメリットを生かせば、起業で成功することは十分に可能だ。以下、50代での起業の若年層とは異なるメリット・デメリットを整理した。
50代で起業するメリット
まずメリットに挙げられるのは、年齢と共にスキルや人脈が蓄積されていることだ。それまでの仕事の業界・分野の知識に加え、管理職経験やコミュニケーション能力など一般的なスキルも充実しているだろう。また、若者よりもまとまった貯蓄や退職金があり、子育て期間が過ぎた人も多く、それまで育児にかけていた時間やお金を起業に充てられる人も多い。
50代で起業するデメリット
先の時間がある20~30代に比べて、年齢を重ねていることで失敗を取り戻しにくい点はデメリットだ。老後の資金や生活を考慮する必要もあり、リスクにはより慎重になることが求められる。また、開業支援制度などは年齢制限を設けていることもある。体力・気力面で若いころのように無理が利かないことも考慮すべきだ。
50代の起業で失敗しないポイント
50代で起業するならば、年齢のメリットを武器にしたうえでデメリットを最小限に抑えることが重要だ。
スキル・経験という財産を生かす
50代の武器は、蓄積されたスキルや人脈である。これまでの会社での経験や人間関係を生かせる分野での起業がおすすめだ。
スモールビジネスで慎重に
リスクはできるだけ抑えなければならない。コストのかかり過ぎない事業を選び、起業形態もよく検討する。副収入など別の収入源も確保されているとなお良い。また事業がうまくいかなかった場合や老後の生活を考慮し、自己資金を使い切らないことも重要だ。
年齢・経験は起業の資源
起業したくても、50代という年齢を意識すると不安が多くなかなか踏み出せない人も多いかもしれない。実年齢は変えることができないものの起業の方法や分野、事業内容は工夫することができる。年齢によるリスクもカバーしつつ、時間と共に積み重ねてきたかけがえのない経験を新たなビジネスの資源として活用したい。
(提供:manabu不動産投資 )
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