この記事は2022年9月6日に「月刊暗号資産」で公開された「イスラム国がテロメッセージの拡散等でNFTを活用と判明」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=naka/stock.adobe.com)

イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が、イスラム国兵士の募集や資金調達のためにNFT(非代替性トークン)を活用していると可能性があることがわかった。5日、Wall Street Journal(WSJ)が報じた。

米国情報機関の元高官によると、イスラム国はイスラム過激派を称賛するデジタルカードNFTを作成。このデジタルカードは同組織を支援するSNSで発見されたそうだ。

先述の元高官は、このデジタルカードをイスラム過激派が作成した初のNFTであると指摘している。

イスラム国やその他のテロ組織は、オンラインによる資金調達やメッセージを根絶しようとする欧米の取り組みを回避するため、NFTを活用する準備を進めているという。

NFTは「IS-NEWS #01」と題され、イスラム国の紋章が記されている。現在、少なくとも1つのNFT取引サイトで閲覧できるようだ。

イスラム国の支援者によって作成されたもので、「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の支援活動と資金調達の新たな戦略を試すための実験の可能性があると元高官は語った。これを受け、規制当局や国家安全保障当局は、テロリストたちがNFTなど新しい金融技術や市場を悪用する可能性について懸念を示している。

「IS-NEWS #01」は現在、取引はされていないものの、ブロックチェーン上に存在するため、司法省やその他の法執行機関はインターネットから排除できないとしている。それでも、ソーシャルメディア・プラットフォームの多くは攻撃的なNFTのリンクを削除しているため、このNFTが拡散していく可能性低いと考えられている。

イスラム国は2017年までにイラクとシリア全域での自分たちが領地とするほぼ全域を失い、資金源が断ち切られていた。欧米当局は資金調達やプロバガンダに関するWebサイトを閉鎖するなど、資金調達経路は機能不全に陥っている

米財務省は今年2月、「不正な犯罪収益の洗浄を目的とする人々にデジタルアートは利用されやすい」と調査報告に記している。

なお、「IS-NEWS #01」が登録されていたOpenSeaやRaribleといったNFTマーケットプレイスではこのNFTを削除し、投稿者のアカウントを凍結したという。(提供:月刊暗号資産