この記事は2022年9月7日に「月刊暗号資産」で公開された「イーサリアム、「マージ」における第1段階のアップデート「ベラトリックス」を実施」を一部編集し、転載したものです。


イーサリアム
(画像=rrice/stock.adobe.com)

イーサリアム(ETH)の大型アップデート「マージ(The Merge)」の第1段階である「ベラトリックス(Bellatrix)」が、日本時間6日20時34分に予定通りエポック(ブロックチェーンの期間)144896に実施された。

ベラトリックスはイーサリアムのコンセンサスレイヤーとして機能するビーコンチェーンをアップデートするもので、今回正式に起動した。これにより、マージ完了に向けいよいよ大詰めを迎えることになる。

マージは「ベラトリックス」と「パリ(Paris)」の2段階に分けて行われる。今回、ベラトリックスが起動したことにより、残すはパリの実施のみとなった。

パリは特定期間の合計ディフィカルティ値を指すTTD(Terminal Total Difficulty)が「58750000000000000000000」に達した段階で実施される。このTTDはマイナーの参加率によって変化するため、パリの正確な実施日時は定かになっていない。

パリを通じて現在のメインネットとビーコンチェーンを統合(マージ)することで、イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へと移行する。正確には、PoSに移行して最初に生成されたブロックが確定した段階でマージが完了となる予定だ。

イーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は6日、マージの実施時期について「9月13日から15日頃に行われることが予想される」と述べ、それまでにクライアントをアップデートするよう呼び掛けた。

マージ実施のタイミングは「Bordel.wtf」や「797.io/themerge」といったWebページで確認することが可能となっている。

なお、ベラトリックス実施中に5%ほどのノードがオフラインになったようだ。

それでも、ConsenSysのブロックチェーンプロトコルエンジニアリーダーのエイドリアン・スットン(Adrian Sutton)氏は、「ビーコンチェーンの検証ノードの約5%が時間内に更新できなかったようだが、ネットワーク全体への大きな影響はなくすぐに改善される」と述べており、実際目立った混乱は確認されていない。

ベラトリックスが実施されたことにより、暗号資産取引所バイナンス(Binance)やFTXはイーサリアムとERC20トークンの入出金を再開した。

また、マージに向けた第1段階のアップデートが終了したことに加え、日本時間6日夜に発表されたISM非製造業景況指数の結果を踏まえ、イーサリアムには利確売りの動きが見られている。記事執筆時点では1,500ドル(約21万6,000円)で推移している。(提供:月刊暗号資産