この記事は2022年9月12日に「月刊暗号資産」で公開された「SECゲンスラー委員長、ビットコインの監督権限をCFTCに与えることを支持」を一部編集し、転載したものです。
米証券取引委員会(SEC)のゲーリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は8日、ビットコインの監督権限を米商品先物取引委員会(CFTC)に与えることを支持する考えを表明した。
米法律教育組織PLI(Practicing Law Institute)が主催したカンファレンスの講演中に発言した。
ゲンスラー委員長はビットコイン(BTC)を「暗号非証券トークン」とし、監督権限をSECとは別の規制当局が行うことを支持すると述べた。
同氏は、「商品先物取引委員会(CFTC)が暗号資産の非証券トークンや仲介業者を監督・規制するため、より大きな権限が必要であれば、私はその目標を達成するため議会と協力するつもりだ」と語った。続けて、「暗号資産市場にある約1万個のトークンのうち、大半は証券である」と指摘している。
中には証券の定義には当てはまらないものが少数あるとしてビットコインに言及し、「貴金属のように取引され、投機的で希少価値が高い、価値の貯蔵物」とした。同氏このような暗号資産を「暗号非証券トークン」と呼んでいる。
また、ゲンスラー氏は取引業者が証券市場において通常分離されているサービスや機能を同時に提供していることを挙げ、様々な機能が混じり合うことで、投資家にとって新たな利益相反やリスクが生じることを指摘した。こうした背景から、SECの職員に対し、取引業者が機能別に登録するよう協力を要請したという。また、暗号資産取引所は規制当局に登録するように繰り返し呼びかけた。
同氏は最後に、「現在、SECに付与されている強固な権限を維持しつつ、議会と協力していく」と述べた。今後、議会と協力して立法構想に取り組んでいくという。
先月、米上院農業委員会の議員らによって提出された「デジタル商品消費者保護法(DCCPA)」では、デジタル商品消費者保護法を含む暗号資産市場を監督するためCFTCに権限を与えることを目的としている。またこの他にも、いくつかの法案が今年、下院と上院で提出されている。
さらに、同委員会では今月14日の公聴会で、取引施設、ブローカー、ディーラー、カストディアンなど、全てのデジタル商品プラットフォームにCFTCへの登録を義務付ける法案を提出する予定だ。暗号資産監督権限の追加を議会に求めているCFTC委員長ロスティン・ベナム(Rostin Behnam)氏が公聴会で証言する予定となっている。
現在、CFTCが規制できるのは、先物、オプション、スワップなどのデリバティブのみとなっている。そこに暗号資産の一部が加わることになる可能性が考えられる。(提供:月刊暗号資産)