この記事は2022年9月27日に「月刊暗号資産」で公開された「米国株下落も暗号資産価格は上昇 ビットコインは2万ドル復帰」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

これまで米株式市場との相関性が高まっていた暗号資産(仮想通貨)市場だが、27日に入り乖離した動きを見せている。

米連邦準備理事会(FRB)に続き、英イングランド銀行、スイス国立銀行と欧米中銀が相次いで利上げに踏み切った。

さらに英国においては、トラス政権が大規模な減税策と国債増発という計画を発表。財政や債権需給が悪化するとの懸念から、英国債利回りが上昇した。これを受けてポンドは対ドルで4%以上の下落を見せ、1972年の変動相場制移行後、史上最安値を更新した。

また、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が欧州連合(EU)議会委員会で「需要を抑制すると共にインフレ期待の上昇シフトが定着するリスクを防止するため、今後数回の会合でさらなる利上げを見込んでいる」と述べるなど、リセッションへの懸念が広まり、株式市場は下落した。

26日の米株式市場でNYダウ平均は5日連続となる下落を見せ、前日比329.60ドル(1.11%)安の29,260.81ドルで取引を終えている。ナスダックは前日比65.00ポイント(0.60%)安の10,802.92ポイント、S&P500は前日比38.19ポイント(1.03%)安の3,655.04ポイントと、いずれも下落した。

一方、暗号資産市場は反発。ビットコイン(BTC)は1万8,700ドル(約270万円)ほどから価格を伸ばし、記事執筆時点では前日比約6%上昇して2万ドル(約288万円)を突破した。ビットコインに続く形で、イーサリアム(ETH)も1,290ドル(約18万円6,000円)辺りから記事執筆時点で1,390ドル(約20万円)ほどまで上昇している。

要因の1つとしては、法定通貨の乱高下が挙げられる。

22日、日本政府・日銀が約24年ぶりに行った為替介入を受け、円ドル相場は一時140円台に突入した。それでも依然として円安進行の改善については見通しが見えていない。また、先述したようにポンドの価値も対ドルで一時大幅な下落を見せている。

こうした状況を受け、暗号資産が伝統的な金融商品の代替商品として需要を集めた可能性がある。

日本時間27日夜にはパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がデジタル金融に関する討論会にオンラインで参加する。その際、暗号資産に関して発言する可能性もあるため、動向を注視する必要があるだろう。(提供:月刊暗号資産