この記事は2022年9月29日に「月刊暗号資産」で公開された「日本取引所グループがESG投資のデジタル債活用に関する研究会を設立」を一部編集し、転載したものです。


JPX
(画像=PIXTA)

日本取引所グループ(JPX)は28日、傘下のJPX総研を通じ、「ESG投資におけるデジタル債の活用に関する研究会」設立を発表した。同日には、第1回研究会を開催したという。

ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資のこと。

発表によると、同研究会は企業や地方自治体等が環境改善効果のあるプロジェクトに要する資金を調達するために発行する債権「グリーンボンド」など、環境債の発行・投資実績がある社債発行体、投資家のほか、証券会社、銀行・信託銀行、ESG評価機関、システムベンダー、公的機関などで構成されるという。

社債や不動産を裏付け資産とするセキュリティ・トークンの発行件数が増加する中、JPXは今年6月にブロックチェーン基盤を活用した社債型セキュリティトークン「グリーン・デジタル・トラック・ボンド」を発行した。JPXによれば、このトークンは国内初のデジタルな仕組みを用いた環境債だ。

JPXとJPX総研は、本スキームの利便性を向上させることで、今後、多くの発行体・投資家に利用して貰うことを目標としている。

グリーン・デジタル・トラック・ボンドの「JPX第1回無担保社債」は、JPX、日立製作所、野村證券、BOOSTRYの協業で発行された。

ホールセール型の1年債で、各社債の金額は1億円。発行額は5億円となっており、利率は0.050%だ。引受人は野村證券で、ブロックチェーン基盤はBOOSTRYのセキュリティトークン専用コンソーシアム「ibet for Fin」を活用している。資金使途としてはバイオマス発電設備と太陽光発電設備に対する設備投資としていた。

このような実績がある上で、JPX総研はESG投資におけるデジタル債の活用に焦点を当てた研究会を設立し、グリーン・デジタル・トラック・ボンドの仕組みについての理解を深め、グリーンボンド債やセキュリティトークンにかかる税制とオペレーションなど、各種課題に関する議論を行うことで、グリーン・デジタル・トラック・ボンドの可能性を探究し、グリーン投資の透明性の向上に努めていくという。

研究会の参加企業には、ゴールドマン・サックス、ソフトバンク、大和証券グループ、野村信託銀行、日立製作所、富士通、みずほ銀行、三菱UFJ信託銀行など、61社が名を連ねている。(提供:月刊暗号資産