この記事は2022年10月6日に「月刊暗号資産」で公開された「暗号資産市場、膠着状態続く 来週の米CPIとFOMC議事録発表を見据える動き」を一部編集し、転載したものです。
5日の米株式市場ではダウ平均が3営業日ぶりに反落し、前日比42.45ドル(0.14%)安の30,273.87ドルで終えた。前日まで急上昇していた反動で利益確定売りが優勢となった。
ハイテク株比率が高いナスダックも3営業日ぶりに反落し、前日比27.77ポイント(0.25%)安の11,148.64ポイント、S&P500は前日比7.65ポイント(0.20%)安の3,783.28ポイントで終えている。
米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁や、米アトランタ地区連銀のボスティック総裁がそれぞれ「金融当局が0.75%の利上げ幅を減速させることはまだまだ材料的に難しく、11月1、2両日の次回FOMC(連邦公開市場委員会)まで主要なデータを注視する」などとタカ派発言したことが株価下落の要因の一つとなった。
まだインフレの最中にあり、FRB(米連邦準備制度)は政策金利を年内に約4.5%まで引き上げる必要があるとした。
さらに、英保守党大会でトラス首相が「減税策は道徳的、経済的に正しいことだ」と演説し、同氏の経済政策に否定的な投資家の売りが先行したことで英ポンドが下落した。これに加えて、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟国の主要産油国で構成されるOPECプラスが、11月に日量200万バレル減産で合意したことも株価下落の要因となった。
また、米住宅ローン金利は7週連続で上昇し、16年ぶりの高水準となった。全米抵当貸付銀行協会(MBA)の発表によると、30年物固定金利は6.75%と、前週から0.25ポイント近く上昇。住宅ローン申請指数は前週比で14%超のマイナスとなり、2020年4月以来の落ち込みとなった。
これが利上げ減速につながる好材料として、株価の下落に歯止めをかけたものとみられる。
暗号資産(仮想通貨)市場では横ばいの推移が続いている。
ビットコイン(BTC)は一時2万500ドル(約296万円)に迫ったもののその後下落。膠着状態が続き、記事執筆時点では2万ドル(約292万円)ほどで取引されている。
暗号資産を含む現在の金融市場では、13日に発表される米CPI(消費者物価指数)を睨み、様子見の状態が続くものとみられる。近頃はCPIの発表前後で大きく価格が変動する傾向が強まっており、インフレの加速を裏付けるデータが出た際には特に注意が必要となる。
また、13日には9月開催のFOMC議事録も公表されるため、注視した方がいいだろう。(提供:月刊暗号資産)