この記事は2022年10月18日に「月刊暗号資産」で公開された「英国の大規模減税策撤回を受け米国株やビットコインなど上昇」を一部編集し、転載したものです。


ビットコイン,上昇
(画像=taa22/stock.adobe.com)

17日、米株式市場は上昇した。NYダウ平均は前日比550.99(1.86%)高の30,185.82、ナスダックは前日比354.41(3.43%)高の10,675.80、S&P500は前日比94.88(2.65%)高の3,677.95で終えている。

英国ハント財務相が「トラスト政権が先月23日に打ち出した大規模減税策について、ほぼ全てを撤回する」と表明したことを受け、英国の財政懸念が後退した。この声明を受け、先月から始まった英政治・金融情勢を巡る混乱に一定の目処が立ったとの見方が投資家間に広がり、幅広い銘柄が買われた形だ。

また、米金融大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)が発表した2022年7月~9月期決算(第3四半期)において、1株利益が市場予想を上回り、底堅さを示したことも投資家の楽観的な見方を助長させた。

ハイテク株が上昇したこともあり、暗号資産市場にも幅広く買いが入った。

ビットコイン(BTC)は堅調に推移し、記事執筆現在は19,500ドル(約292万円)辺りで取引されている。また、イーサリアム(ETH)も1,300ドル(約19万4,000円)台へ上昇し安定している。しかし、米10年債の金利が上昇に転じると暗号資産市場も上値が重くなった。

暗号資産市場にとっては、大手決済企業マスターカード(MasterCard)が銀行の暗号資産取引を支援するサービスを提供すると発表したこともポジティブな要因となった。

米銀行が暗号資産の取扱いを開始することで、伝統的な金融市場の顧客の裾野が広がる。また、新たな市場参入者が現れることで、暗号資産市場にさらなる活気が生まれるとし、期待が高まる。

一方で、米商品先物取引委員会(CFTC)と米証券取引委員会(SEC)が、破綻した暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(3AC:Three Arrows Capital)について調査を進めていることがわかった。

3ACは今年5月に発生したテラUSD(旧UST)の崩壊などにより債務不履行に陥ったことから、7月に米連邦破産法15条の適用を申請した。SECらは現在、3ACがバランスシート上で資家を欺いていないか、当局への申請等について違反していないか等について調査しているという。

この調査によって新たな事実が浮上した際には、暗号資産市場にも何らかの影響を及ぼす可能性があるため、注視する必要がある。

また、今週は19日に米大手電気自動車テスラの決算、そして20日に米新規失業保険申請件数などがある。こうした指標等に影響を受け、暗号資産市場のボラティリティも高くなる可能性があることから、注意が必要だ。(提供:月刊暗号資産