「ウマ娘」のキーワードでネット検索すると、「ウマ娘 売上 落ちた」「ウマ娘 韓国版 炎上」などの気になるネガティブワードも出てきます。これらは事実なのでしょうか。2021年に社会現象となったウマ娘が逆境にあるのか否かを確認してみます。
ウマ娘のDL数は、2021年と比べて半分に落ちている
ウマ娘 プリティダービー(以下、ウマ娘)は、音楽、アニメ、コミカライズなどを組み合わせた「クロスメディアコンテンツ」です。馬の耳と尻尾を持つ少女たちが、学園生活を送りながらトゥインクルレース制覇を目指す世界が設定されています。
ウマ娘のコンテンツ自体が発表されたのは2016年からですが、2021年2月からファン待望のゲームアプリがリリースされ、社会現象ともいえる大ヒットとなりました。
はじめに確認したいのは、「ウマ娘 売上 落ちた」という内容です。最近のウマ娘の勢いが落ちているのは本当でしょうか。
ウマ娘の単体の売上は、開発・販売元であるサイバーエージェントの決算説明会資料に明記されていません。ただ、ダウンロード数やゲーム事業の推移を見れば、最近の売上傾向がある程度つかめます。
ウマ娘のダウンロード数推移(2021年2月~2022年6月)は次の通りです。リリースの約5ヵ月後に1,000万ダウンロード突破という凄まじい勢いです。
しかし、さすがの「ウマ娘」も2021年のダウンロード数がハイペースだったため、2022年に入ってその勢いはかなり落ちています。例えば、2021年4~6月と、2022年のほぼ同時期を比較すると、ダウンロード数が半分に落ちています。
対象期間 | ウマ娘ダウンロード数 |
---|---|
2021年4月27日 〜6月10日 | 200万DL |
2022年4月1日 〜6月10日 | 100万DL |
補足すると、上記の2021年と2022年の対象期間を見ると、2021年のほうが26日短いです。それだけ2021年のダウンロード数がハイペースだったといえます。
サイバーエージェントのゲーム事業は反動減が出ている
ウマ娘を含むサイバーエージェントのゲーム事業の売上も確認してみましょう。以下がゲーム事業の直近の売上推移です。
ウマ娘リリース前の2020年(2Q~翌1Q)とリリース後の2021年(同)を比べると、売上が飛躍的に伸びていることが一目でわかります。その後、2022年(同)になると2021年の反動で、売上が大きく落ち込んでいます。なお、営業利益も同様に大幅減となっています。
このゲーム事業の反動減について、日経新聞 電子版では次のように報じています。
とはいえ、サイバーエージェントのゲーム事業の売上は、ウマ娘リリース前を確実に上回っています。ここまでの内容を踏まえると、ウマ娘の2022年の売上は2021年よりも落ちている可能性が高いですが、現時点では数多くのユーザーがいて、サイバーエージェントに利益貢献しているといえます。
ウマ娘が韓国・台湾・香港などでリリース。とくに韓国で絶大な人気
次に確認したいのは、「ウマ娘 韓国版 炎上」です。炎上の理由はどのようなものでしょうか。
まずは、ウマ娘の韓国版の基本情報です。2022 年6月、ウマ娘の新しい展開として、韓国語版、繁体字版(台湾、香港、マカオ向け)のゲームアプリがリリースされました。
注目点は、ウマ娘が海外でも通用するかですが、リリース直後から韓国、台湾、香港、マカオの4市場で高い支持を得ています。
調査会社「Sensor Tower(センサータワー)」によると、ウマ娘はリリースから3日間、4市場でランキング1位を獲得(カテゴリ: iPhoneトップフリーゲーム)。その後もトップ15以内のポジションを維持したとのことです。
とくに人気が高かったのは韓国です。同社のデータに基づけば、日本を含む5市場全体のウマ娘のダウンロード数の6割以上を韓国が占めています(下記のグラフ右側)。ちなみに台湾でも約2割と高い支持がありました。
※上記調査の対象期間:2022年6月17日~2022年7月26日
好調だった韓国版ウマ娘が大炎上……コアユーザーの抗議の内容とは?
しかし、2022年8月後半になって好調だった韓国版ウマ娘が窮地に立たされています。ウマ娘は韓国発のグローバルなゲーム会社「Kakao Games(カカオゲームズ)」が現地パブリッシング(※)を担当していますが、韓国国内で抗議活動やネット上での炎上などが起きているのです。
※パブリッシング=現地でのプロモーションやローカライズなどを担当すること
THE KOERA ECONOMIC DIARYの報道によると、韓国人ユーザーのウマ娘への主な抗議内容は次の通りです。
・韓国版ウマ娘のほうが日本版よりアイテムの利用期間が短い
・ウマ娘ユーザーへの競争イベントに関する告知が遅れている
・翻訳ミスが多いなど
(参照:韓国経済新聞-THE KOERA ECONOMIC DIARY-(2022年8月30日付))
上記を見ると、ウマ娘そのものへの不満というよりも、韓国版を軽視していることに対する抗議ということがわかります。
Kakao Gamesでは2022年9月17日、ウマ娘のユーザー代表7名と8時間にも及ぶ懇談会を開催しました。同社では、不満の内容を詳しくヒアリングしたうえで、韓国と日本の情報格差をなくすためのロードマップを月1回公開することを約束しています。
この懇談会の直前には、直接的な開発元であるサイバーエージェントのグループ会社「Cygames(サイゲームス)」が謝罪文を公開。今回のウマ娘炎上が起きた原因として、「Cygamesの監修の至らなさ」「Kakao Gamesとの連携不足」などを挙げて改善する意向を示しています。
今回の騒ぎは、韓国版ウマ娘のダウンロード数や売上に一時的な悪影響与えるかもしれません。しかし、ユーザーの不満が着実に解消されれば、信頼を回復できる可能性はあります。
また、この問題を乗り越えれば、ウマ娘を海外の他エリアで展開するときの経験値を手にいれることもできます。トラブルをケガの功名にできるか、Cygamesを含むサイバーエージェントの地力が試されます。
ウマ娘は、一時的なヒットで終わるコンテンツではない?
最後に、ウマ娘に関する補足情報です。韓国版ウマ娘の謝罪で登場したCygamesについても触れておきたいと思います。
Cygamesは、2011年に サイバーエージェントのグループ会社として設立。ゲーム事業の企画・開発・運営を担っています。これまでに数々の大ヒットゲームをリリースしてサイバーエージェントの売上に貢献してきました。
・グランブルーファンタジー
・シャドウバース
・プリンセスコネクト!Re:Dive
・ウマ娘 プリティーダービー など
Cygamesに対しては、辛口コメントの多い印象のある堀江貴文氏も「Cygamesと言う会社は、絶対に外さないみたいな。出したゲームだいたいヒットさせているという凄い会社」と自身のYouTubeチャンネルで絶賛しています。このような背景を知ると、ウマ娘が大ヒットしたのは、たまたまではなかったことがわかります。
なお、ウマ娘の運営チームのメンバーはCygamesの会社案内(2022年版)で下記のように話しています。
(ウマ娘を)「心に残り続けるタイトルにしたいと思っています。そのためにゲーム内の施策はもちろん、今後も、多方面で 『ウマ娘』に触れられる機会を作っていくつもりです」
このコメントを信じれば、ウマ娘の世界は一時的なヒットで終わるのではなく、時代や国境を超えるコンテンツになる可能性もあります。ネットにあふれる「飽きた」「オワコン」という声を払拭する展開に期待しましょう。
(提供:Dear Reicious Online)
【オススメ記事 Dear Reicious Online】
・40代からの将来設計。早いほどおトクなマンション経営
・マンション経営の物件選び!初心者がまず知っておきたい必須のポイント
・少子高齢化社会が不動産の可能性に与える影響
・「働く」だけが収入源じゃない 欧米では当たり前の考え方とは
・実は相性がいい!?不動産×ドローンの可能性