この記事は2022年11月2日に「月刊暗号資産」で公開された「ソニー銀行と千葉銀行が提携 ブロックチェーンの活用について共同研究」を一部編集し、転載したものです。
ソニーグループ傘下のソニー銀行は先月31日、金融商品やサービスの販売、デジタル技術の共同研究で千葉銀行と提携に関する基本合意書を締結したと発表した。両行はテクノロジーの活用についての共同研究を行うにあたり、ブロックチェーンに関する研究も行う。
ソニー銀行はプレスリリースで、多様化する顧客の資産運用、資産形成のニーズへの対応や、金融とテクノロジーの力で顧客の課題を解決するために、ネットバンクが持つ知見やノウハウのみならず、広範な顧客基盤や地域との緊密なリレーションを持つパートナーを確保する必要があると述べる。
一方、千葉銀行は現在、「金融機能の深化と地域金融の新たなモデル構築による『カスタマー・エクスペリエンス』の向上」に向けた取り組みとして、顧客向けサービスや業務運営、人事戦略のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を進めている。顧客中心のビジネスモデルを進化させていくために、デジタル技術などに強みを持つ新たなパートナーとの協業によるDXの高度化が必要であると考えていると説明した。
両行は異なるビジネスモデルを展開しているが、それぞれ得意とする領域を活用しながら、互いの戦略の拡充をすることで、大きなシナジーを生み出すことができるとの判断から基本合意書を締結したと述べた。
中でも、本提携の目的の1つとしてブロックチェーンの活用に関する共同研究がある。不動産ローン債権のセキュリティ・トークン化をはじめとするブロックチェーンの活用について、両行でユースケースの共同研究を行い、金融・非金融両分野でのサービス提供に向けた検討を行っていくという。
また他にも、住宅ローンのDXに向けた共同研究では、顧客の利便性向上に向け、不動産テックやAI審査などのデジタル技術を活用した取り組みについて共同研究を進める。
さらに持続可能な社会の発展・SDGsの達成に向けた取り組みとして、両行の顧客基盤・テクノロジーを活用し、金融・非金融両分野で顧客を支援するサービスの検討を行っていくとしている。
ソニーグループでは過去にもブロックチェーンに関する取り組みがみられている。
2020年、複数の交通機関を統合した移動サービス「MaaS」向けにブロックチェーン技術を活用した共通データベース基盤「BCDB(ブロックチェーン・コモン・データベース)」を開発した。
MaaSとは、電車やバス、タクシー、カーシェアリング、歯医者サービス、レンタル自転車などの交通手段をITやクラウド技術で統合し、利用者に目的地への最適な経路や交通機関、時間、料金などを一括して提示し、予約から決済までを提供するサービスだ。
ソニーの開発したBCDBはデータの高速処理が特長で、1日700万件以上の利用者が匿名化された移動履歴と収益配分の記録、共有を可能とするという。(提供:月刊暗号資産)