この記事は2022年11月3日に「月刊暗号資産」で公開された「デジタル庁、独自の「Web3.0研究会DAO」を立ち上げへ」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=Blue Planet Studio/stock.adobe.com)

デジタル庁は2日、5回目となるWeb3.0研究会を開催した。その中で、独自のDAO(分散型自律組織)である「Web3.0研究会DAO」を立ち上げる方針であることが明らかになった。

設立趣旨としては、構成員がDAOのユーザー体験を通じて課題や可能性を認識し、研究会の議論をより深度あるものにするためとしている。

DAOとしての機能ではトークン配布や投票などを有する。その中で、デジタル庁はDAOの作成や運営、ガス代の取りまとめ等の役割を担うという。

一方で、構成員の役割としては、ウォレットの開設、DAOへの参画・運営、議論への参加、ガス代 の分担などを挙げている。参加メンバーはWeb3.0研究会の構成員およびデジタル庁とし、構成員が参加を許可したメンバーについても対象範囲とすると説明している。

なお、このDAOの法的位置づけは構成員および事務局の自発的意思に基づき設立される任意団体となる。

デジタル庁は、今回のDAO自体が今後のロールモデルとなり設立テンプレート等を公開すると説明。また、DAOで可能になること、DAOで解決できない課題について検討を進めるほか、トークンの扱いについての法的位置づけなど、具体的なユースケースを元にした提言を行なっていくという。

デジタル庁のWeb3.0研究会は先月5日に初めて開催された。会議は、デジタル大臣が指名する有識者により構成され、2022年末までに議論をまとめる方針だ。

この会合では暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)、DeFi(分散型金融)など、Web3.0に関連した分野について広範に議論が行われている。

今後の検討の方向性として、Web3.0研究会では以下の項目について重点的に提案を行うことが提案された。

  • デジタル資産
    特に暗号資産や証券トークンに該当しないトークンについて、その特性やリスクを踏まえた今後の対応に向けた整理
  • DAO
    Web3.0研究会DAOの取組みや国内で好事例となり得るものの調査・分析を通じた、便益と課題の整理
  • 分散型アイデンティティ
    分散型アイデンティティとマイナンバーカードの鍵を組み合わせた新たなトラストモデル構築に向けた課題の整理
  • 利用者保護と法執行
    安全な利用環境の整備に向けて、直ちに対応すべき事項と今後の課題の整理

日本政府は今年に入りWeb3.0推進を打ち出しており、国家戦略にも取り入れている。これに関連して、兼ねてより改善が求められていた暗号資産税制についても期末課税の見直しが進められるなどに様々な動きが見られている。(提供:月刊暗号資産