この記事は2022年11月10日に「月刊暗号資産」で公開された「ビットコイン、FTXの買収動向を巡り一時1万5,000ドル台まで下落」を一部編集し、転載したものです。
9日の米株式市場は、開票中の米中間選挙において上院で優勢とみられていた共和党が伸び悩んでいるとの情報が伝わりダウ平均をはじめ主要指標が下落に転じた。上院、下院共に共和党が勝利すれば株高につながるとの期待が後退した格好だ。
伝統的に野党に有利とされる米中間選挙で、与党・民主党は想定以上の健闘を見せた。選挙結果はまだ確定していないものの、野党・共和党が期待していたレッドウェーブ(赤い波)は起きず、大勝利とは程遠いものとなった。有権者はインフレ対策を巡りバイデン政権の経済運営を批判する一方で、中絶を禁止するという共和党の方針が反発を招いた形だ。
バイデン米大統領は9日、合致する点があればという前提の上で共和党と一部政策で協力する用意があるとの認識を示した。また、自身が2024年の次期大統領選挙で再戦を目指す予定に変わりはなく、来年の早い時期に正式発表する可能性があるという。
9日のNYダウ平均は前日比646.89ドル(1.95%)安の32,513.94ドル、ナスダックは前日比263.03(2.48%)安の10,353.18、S&Pは前日比79.54(2.08%)安の3,748.57で終えた。
暗号資産(仮想通貨)市場は、重要指標の発表前に加え株式市場の動向による影響もあるが、何よりも大手暗号資産取引所FTXの情勢を巡り大幅下落となった。
ビットコイン(BTC)は一時1万5,700ドル(約229万円)ほどまで下落し、記事執筆時点では1万6,700ドル(約245万円)を推移している。イーサリアム(ETH)も1,080ドル(約15万8,000円)ほどまで下落し、現在は1,170ドル(約17万2,000円)ほどまで戻している。
暗号資産市場は全面安となっているが、中でも窮地にあるFTXの独自暗号資産FTXトークン(FTT)は一時2ドル(約300円)まで下落。記事執筆時点でも戻りは鈍く、前日比40%安を記録している。FTXトークンは1週間前に25ドル(約3,700円)ほどで取引されていたが、一連の暴落により前週比で約90%ものマイナスとなっている。
また、騒動の発端となった投資会社アラメダ・リサーチ(Alameda Research)のバランスシートに記載されていたソラナ(SOL)も大幅に下落しており、記事執筆時点では前日比約25%安の14ドル(約2,050円)ほどで推移している。
なお、日本時間10日夜には10月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利上げ幅を決定するための最重要指数であり、数値が金融引き締めの緩和につながるかにも焦点が当てられる。
市場予測では、前月比プラス0.6%、前年同月比ではプラス7.9%となっており、わずかに伸びが縮小するとの見方が強い。(提供:月刊暗号資産)