この記事は2022年11月22日に「月刊暗号資産」で公開された「コインベース、暗号資産の冬は「2023年末まで続く」と指摘」を一部編集し、転載したものです。
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は、同社調査チームがまとめた「暗号資産の冬は長くなる」というレポートを発表した。
レポートによれば、暗号資産取引所FTXの破綻により、暗号資産市場からポジティブな投資家が離れてしまったため、「暗号資産の冬」が長期化する見通しであるという。最近の市場における混乱と大規模な買い手の不在により、暗号資産市場は脆弱になるだろうと展望を述べた。
これらに加え、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ動向にも大きく左右されると説明。それでも、コインベースはインフレが本格化するか、米住宅市場の失速および雇用の悪化等、経済データに弱さが見られるまで、FRBはさらなる利上げを行わないと予想しているという。
また、レポートではテクノロジー株の低迷を受け、米国が将来的に景気後退を迎えると懸念する投資家たちが投資の縮小を検討していると指摘している。その上でFTXが破綻したことから、投資家が暗号資産市場から離れていくのはごく自然な現象だと述べた。
FTXの破綻についてコインベースは「市場の不安に拍車をかけた」とし、暗号資産に対する投資家心理を悪化させたことから、業界全体の動きを後退させたと非難している。さらに、FTXに投資や資産を預け入れていた機関投資家らが影響を受ける可能性が極めて高く、連鎖的な倒産等の現象が発生しても不思議ではないとしている。
暗号資産市場の不安定さが増している中で、現在ステーブルコインの需要が高まっている。コインベースは暗号資産市場におけるステーブルコインのドミナンス(占有率)が18%と高水準に達している点に触れ、今後も「暗号資産離れ」が加速する恐れがあることから、流動性リスクは2022年末まで続く可能性があると指摘した。
このほか、ビットコインのマイニングにおいてハッシュレートの上昇やエネルギー価格の高騰に加え、価格の落ち込みも踏まえるとマイナーに大きな負担がかかっていると説明した。
こうした様々なネガティブ要因が重なり、2023年末までは暗号資産の冬が継続するとの判断に至ったとコインベースは結論付けている。(提供:月刊暗号資産)