この記事は2022年11月24日に「月刊暗号資産」で公開された「FOMC議事録公開で利上げペース緩和の可能性高まる 米国株やビットコインなど上昇 」を一部編集し、転載したものです。
日本時間24日未明、米連邦準備理事会(FRB)は11月1日~2日に開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公開した。
議事録によると、参加者の大多数が「利上げペースの減速が近いうちに適切になる可能性が高い」との考えを示したことが明らかになった。また、急速な金融引き締めの効果が浸透していくことにより、より小さく慎重な利上げを行うことも可能になるとした。さらに、当局としてはこれまでの利上げ政策に一定の効果が見られたとの認識も示された。
同時に、当局は米国債市場の混乱についても議論した。米国債市場は「秩序ある状態だと判断したが、特に金融引き締めの局面にあって、米市場の機能に何らかの問題が生じれば、『現在の金融政策スタンスに影響を与えない方法』で当局として対処する準備を行うべきだ」と指摘する意見も数人から出たという。
議事録の公表により、利上げペースが緩和されるとの思惑から米株価は上昇し、米国債利回りは低下。今後の金融引締めへの警戒感が後退した格好だ。NYダウ平均は前日比95.96ドル(0.28%)高の34,194.06ドル、ナスダックは前日比110.91(0.99%)高の11,285.32、S&P500は前日比23.68(0.59%)高の4,027.26で終えた。
米株高を受け、暗号資産(仮想通貨)市場も全面高となった。
ビットコイン(BTC)は1万6,000ドル(約222万円)台後半に回帰し、イーサリアム(ETH)も記事執筆時点で1,200ドル(約16万8,000円)ほどまで上昇している。個別銘柄ではソラナ(SOL)が大きく価格を伸ばしており、前日比約9%の上昇をみせている。ソラナ基盤のNFT(非代替性トークン)マーケットプレイス・Magic Edenがポリゴン(MATIC)に対応するとの発表を行なったことが買い材料になったとみられる。
暗号資産取引所FTXの破綻による影響を受け、暗号資産レンディング企業ジェネシス(Genesis)が破産申請を行う可能性もあったが、親会社のデジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group:DCG)がこれを否定したことも好材料となった。
また、同じくデジタル・カレンシー・グループ傘下のマイニング業者のFoundry Digitalが、破産申請中の米マイニング業者Compute Northの施設を買収することを発表した。Foundryは世界有数のビットコイン・マイニングプール「Foundry USA」を運営している。暗号資産業界に逆風が吹く中で、デジタル・カレンシー・グループの豊富な資金力を伺わせる発表は市場に好印象を与えた形だ。(提供:月刊暗号資産)