この記事は2022年12月1日に「月刊暗号資産」で公開された「FTX Japan、Liquidのシステムを活用して来年1月に顧客資産の出金開始か」を一部編集し、転載したものです。


FTX
(画像=Nikita/stock.adobe.com)

先月経営破綻した暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの日本法人であるFTX Japanが作成している顧客資産の出金を可能とする計画案の一部が明らかになった。先月30日、Bloombergが報じた。

同紙に語った複数の関係者によると、草案段階の計画として、来年1月から出金を開始するため、買収前に暗号資産取引所Liquidが使用していたプラットフォームを活用することを軸に検討が進められているという。

FTXは今年2月にLiquid Groupの買収を発表。その後、3月に買収が完了し、国内暗号資産取引所Liquid by QuoineをFTX Japanへと変更した。

顧客資産の出金については、先月21日にFTX Japanの幹部がNHKに対し、年内中の再開を目指すと語っていた。その際、独自のシステムを開発している点についても触れていた。

親会社のFTXが破産申請を行ったことで、FTX Japanにおいても顧客資産の出金が停止する事態となった。これついて、FTX Japanの幹部は親会社のFTXと同じシステムを用いていることから、顧客資産の出金が引き出せないと説明している。

FTXの破綻を受け、多くの投資家が損失を被った。連鎖倒産の事例として、暗号資産レンディングサービスを手がけるブロックファイ(BlockFi)が先月28日、米連邦破産法11条(Chapter11)を申請している。

また、FTXの債権者は100万人を超える見込みで、依然として事態収拾に向けた糸口は見えていない。裁判所に提出された資料によれば、FTXは主要な債権者50人に対して計31億ドル(約4,400億円)の債務を抱えている。

FTX Japanは発表で、顧客から預かっている資産については法令に則り、暗号資産はコールドウォレットにおいて、法定通貨は日本の信託口座において分別管理を行っているとしている。法定通貨の管理状況については、先月28日時点で合計60億6,369万7,440円、信託残高は63億3,255万3,579円あり、余剰が2億6,885万6,139円となっている。またFTX Japanの自己資産の状況について、純資産額は今年9月末時点で約100億円あり、現預金は先月21日時点で約178億円としている。

Bloombergによると、FTX Japanは顧客から預かった資産をLiquidのプラットフォームに移動させることで返金に対応する予定だという。この対応を行うには金融庁の承認が必要になるとのことだ。

関係者の1人によれば、金融庁は顧客資産の返金についてできるかぎり早期に予定と時期を示すことを求めているという。Bloombergが入手した計画草案によると、早ければ来年1月9日の週にも出金が可能になる見通しだ。(提供:月刊暗号資産