この記事は2022年12月6日に「月刊暗号資産」で公開された「フランスとルクセンブルク、CBDCの実証実験で1億ユーロの債権を決済」を一部編集し、転載したものです。
フランス銀行とルクセンブルク中央銀行が、CBDC(中央銀行デジタル通貨)の実証実験を通じて、1億ユーロ(約143億円)相当の債券を決済したと発表した。
発表によると、欧州投資銀行(EIB)が掲げる取り組み「Venus initiative」の中で、両行はCBDCに相当するデジタル・ユーロを発行し、安全な形で決済する手段を提供することができたと述べている。欧州投資銀行がルクセンブルグの法律に基づき1億ドル相当のデジタルネイティブ債を発行し、決済を行ったようだ。
実証実験では、デジタルネイティブ債を発行・販売する銀行シンジケーションとして米ゴールドマンサックスをはじめ、スペインのサンタンデールやフランスのソシエテジェネラル等の大手金融機関らが参画したという。
フランス銀行の金融安定・業務担当ゼネラルディレクターであるナタリー・オフォーヴル(Nathalie Aufauvre)氏は、「欧州の金融システムの中心とも言える2つの中央銀行、そしてヨーロッパの世界的な発行体や世界の主要な銀行の協力のもと、大規模なエコシステムが結集された。そして、現在進めているCBDCの設計が、欧州市場における安全なトークン化された金融決済手段に重要な役割を果たすことができるだろう」と述べ、成果を強調した。さらに、今回の取り組みは「ホールセール市場に対するサービスの改善とユーロシステムの検討に貢献することも目的としている」と付け加えた。
フランス銀行では2020年3月から本格的なCBDCの実証実験をスタートさせている。同年12月にはブロックチェーン上でCBDCの銀行間決済に関する実験を行ったほか、昨年にはシンガポールの金融管理庁やスイス国立銀行らとホールセール型CBDCのクロスボーダー決済に関する取り組みも行い成功している。
また、フランス銀行はDeFi(分散型金融)におけるリクイディティ管理等でもCBDCの活用を模索し、実証実験を行なっている。(提供:月刊暗号資産)