この記事は2022年12月7日に「月刊暗号資産」で公開された「破綻したスリーアローズキャピタルの清算企業、現金約49億円やNFT等を差し押さえ」を一部編集し、転載したものです。
今年7月に破綻した暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンド・スリーアローズキャピタル(Three Arrows Capital)の清算企業であるTeneoは今月2日、ニューヨーク南部地区連邦破産裁判所に資料を提出した。
その中で、スリーアローズキャピタルが保有する現金3,560万ドル(約49億円)を差し押さえたことを公表した。また、投資の強制償還275万ドル(約3億7,800万円)やNFT(非代替性トークン)のほか、有価証券および60種類の暗号資産等も押収し管理しているという。
さらに、創業者のSu Zhu氏とKyle Davies氏がスリーアローズキャピタルの破綻前に5,000万ドル(約68億円)で購入した大型ヨットについても売却を検討しており、3,000万ドル(約41億円)程度を回収するために裁判所から許可を得る方針だ。
スリーアローズキャピタルは今年5月のテラショックによって多額の損失を被っており、英領ヴァージン諸島の裁判所から清算を命じられ破綻した。
なお、Teneoは今回提出した資料を通じて、「Zhu氏とDavies氏はメディア対応こそ行なっているものの我々の指示については無視をしている」とし、非協力的な姿勢を指摘した。Zhu氏とDavies氏はTeneoと接触しようとせず、オンライン会議でも姿を現すことはなく発言もしなかったようだ。
さらに、Teneoがスリーアローズキャピタルのシンガポールオフィスを訪ねた際には、物理的な文書やサーバー、ハードディスクなどが持ち去られていたという。こうした状況から、全ての情報を共有しているというスリーアローズキャピタル側の主張は全くの虚偽であると非難した。
現在、SEC(米証券取引委員会)をはじめシンガポール金融管理局らが調査に乗り出しているが、Zhu氏らは海外裁判所の命令を執行することが難しいとされるインドネシアやUAE(アラブ首長国連邦)に滞在しているとされ、今後の見通しは不透明なままとなっている。(提供:月刊暗号資産)