この記事は2022年12月13日に「月刊暗号資産」で公開された「バハマ警察、FTX元CEOのサム氏を相場操縦などの疑いで逮捕」を一部編集し、転載したものです。


FTX
(画像=Zhanna/stock.adobe.com)

王立バハマ警察は12日、暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの創業者で元CEOのサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)容疑者を逮捕したと発表した。発表によると、バハマ警察は米国当局の要請に従いサム容疑者を逮捕したという。

バハマのライアン・ピンダー(Ryan Pinder)司法長官は「米国から受け取った通知と関連資料を検討した結果、司法長官がバンクマン・フリード氏の逮捕を要請し、わが国の犯罪人引渡法に従って勾留することが適切と判断した。米国から引き渡しの正式な要求がなされた時点で、バハマは法律と米国との条約に従い、迅速に処理を行う」と述べた。

ピンダー司法長官も先週、バハマの証券当局や金融当局、警察の金融犯罪部署が民事と刑事の両面で捜査を開始していると述べていた。

ニューヨーク州南部地区連邦検事のダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)氏も公式アカウントで、「今晩、バハマ当局はSDNY(Southern District of New York)が提出した起訴状に基づき、米国政府からの要請に応じてサミュエル・バンクマン・フリード氏を逮捕した」と明かした。

現時点で容疑は明らかにされていないが、現地時間13日午前に起訴状の中身を公表するという。想定される逮捕容疑としては、電信詐欺や証券詐欺、詐欺の共謀、マネーロンダリング、暗号資産の相場操縦に関わった疑いなど、多岐に渡る可能性が高い。

先月11日、FTXは日本の民事再生法にあたる米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用を申請した。その後、顧客資金の扱い等について米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)などが調査を開始している。

一連の騒動を通じて、米国の暗号資産投資家は「経験の浅い投資家に対して詐欺行為行なった」として、サム氏やFTXの広告に関わった多数の有名人に対し、総額110億ドル(約1兆5,000億円)の損害賠償を求め訴訟する事態にも発展した。この訴訟ではメジャーリーグ(MLB)のエンゼルスに所属する大谷翔平選手やプロテニスの大坂なおみ選手も被告として名を連ねている。

FTXの債務総額はまだ確定していないものの、債務者数は100万人を超える可能性が高い。多くはFTXの暗号資産取引所サービスを利用していたユーザーで、日本法人であるFTX Japanを含め現在も各国で法定通貨や暗号資産を引き出せない状況が続いている。

破綻に至る経緯を解明するため、13日と14日に米上下院の委員会がそれぞれ公聴会を開く予定だ。13日の公聴会ではサム氏を召喚し、オンラインでの参加を要請していた。

また公聴会に先立ち、暫定CEOを務めるジョン・J・レイ三世(John J.Ray Ⅲ)氏は13日、米下院金融サービス委員会で証言する際の原稿を発表した。原稿を通じて、レイ氏はアラメダ・リサーチ(Alameda Research)がFTXの顧客資金を利用して信用取引をしていたことなどを明かしている。(提供:月刊暗号資産