ダイヤモンド投資
(画像=Levon/stock.adobe.com)

指輪やネックレスなどに使われるダイヤモンドは、グレードによって価値が決まる資産です。ほかの宝石に比べると資産価値が高いことから、最近では投資対象としても注目されています。

本記事では、ダイヤモンド投資の概要やメリット・デメリットについて解説します。投資の始め方も紹介しますので、興味がある人はぜひ参考にしてください。

目次

  1. ダイヤモンド投資とは?
    1. ダイヤモンドの価格の決まり方
    2. ダイヤモンド市場は拡大している?
  2. ダイヤモンド投資はどうやって始める?
    1. ダイヤモンド投資の人気商品
    2. 投資用ダイヤモンドの入手方法
    3. カラット数別のダイヤモンドの必要資金
  3. ダイヤモンド投資と金投資の違い
  4. ダイヤモンド投資のメリット
    1. 50年以上の実績がある
    2. 細かいメンテナンスが不要
    3. 高額なものでも登記の必要がない
  5. ダイヤモンド投資のデメリットや注意点
    1. 鑑定機関にもこだわる必要がある
    2. 詐欺被害に遭うリスクがある
  6. ダイヤモンドは投資用資産としての価値がある宝石

ダイヤモンド投資とは?

ダイヤモンド投資とは、ジュエリーとしてのダイヤモンドや、その原石に投資をすることです。ダイヤモンドは宝石の中でも希少価値が高く、見た目も華やかであることから、世界中に愛好家やファンがいます。

原石のままでも価値があるダイヤモンド

ダイヤモンドが実際にどれくらいの価格で取引されているのか、結婚指輪でもよく見られる0.3カラットのダイヤモンド価格の推移を見てみましょう。

上図は0.3カラット、カラーD、クラリティIFのチャート(データ更新日: 2022/12/13)

ダイヤモンド投資
※上図は0.3カラット、カラーD、クラリティIFのチャート
引用元:ダイヤモンド価格チャート|Diamond Bourse

カラーやクラリティ(透明度)にもよりますが、0.3カラットのダイヤモンドの相場は800~900ドルです(※2021年~2022年11月のデータ)。仮に1ドル=140円と考えると、小さなダイヤモンドでも10万円以上の価格で取引されていることが分かります。

ダイヤモンドの価格の決まり方

ダイヤモンドの取引価格は、一般的に以下の要素によって決まります。

○ダイヤモンドの品質評価国際基準
カラット(Carat):重量
カット(Cut):輝き
カラー(Color):色合い
クラリティ(Clarity):透明度

ダイヤモンドの品質評価国際基準は「4C」と呼ばれており、全体の相場については世界最大手のデアビス社(※)が「ラパポート・ダイヤモンド・レポート」の中で公表しています。

(※)イギリスに本拠地を構えるダイヤモンドの採鉱・流通・加工などを行っている企業。

特に「大きい・輝度が高い・透明度が高い」ものは希少性があり、中には現在の価値で数千億円を超えるダイヤモンドもあります。

イギリス王室が保有している、現在価値で約2,600億円の「カリナン」

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(※イギリス王室が保有している、現在価値で約2,600億円の「カリナン」。)
引用元:有名なダイヤモンド(3) 「カリナン」 | フォーシーズブログ

ダイヤモンド市場は拡大している?

ダイヤモンドは古くから資産価値のある宝石ですが、投資市場は拡大しているのでしょうか? 長期と短期に分けて、ダイヤモンド価格のチャートを見てみましょう。

上の図は、1960年からのダイヤモンド価格をグラフ化したものです。約50年間でダイヤモンド価格は10倍ほどに伸びており、2000年~2013年にかけても約1.88倍の上昇を記録しています。

次に2014年3月10日時点での相場を100として、ダイヤモンド全体の価格を示した「ダイヤモンドインデックス」のデータを紹介します。

2022年8月以降は相場がやや下がっているものの、2021年11月頃と比べるとダイヤモンド価格は上昇しています。今後の予測は難しいところですが、ダイヤモンドは中長期的に市場が拡大している資産と言えるでしょう。

ダイヤモンド投資はどうやって始める?

ここからは、ダイヤモンド投資の始め方を紹介します。

ダイヤモンド投資の人気商品

ダイヤモンドを使ったアクセサリーは簡単に入手できますが、買取の際にはダイヤモンドの価値のみが査定されます。加工費やデザイン費は査定価格に含まれないことが多いので、まずは投資用の商品に目を向けましょう。

○ダイヤモンド投資の主な対象商品
・希少価値が高いダイヤモンドルース
・ダイヤモンドの原石・ダイヤモンドの採掘や流通に関連する株式(※ETFや投資信託を含む)

ダイヤモンドルースとは、アクセサリーの枠や台座にセットしていないダイヤモンド(裸石)のことです。資産としてのダイヤモンドは、基本的にはこのルースを指します。中でも1カラット以上のものは希少価値が高く、加工されないまま流通するケースが多く見られます。

1.033カラットのダイヤモンドルース。50万円以上で取引されることも多い。

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※1.033カラットのダイヤモンドルース。50万円以上で取引されることも多い。
引用元:1カラット ダイヤ・ルース(裸石) 1.033ct F I-1 Excellent 中央宝石鑑定書 (FAINT)(265784) フェイバリットストーン 銀座本店

また、ラウンドブリリアントカットやプリンセスカットのように、見栄えが良くなるカットを施したダイヤモンドも投資対象になります。

198万円で販売されている、1.5カラットのダイヤモンドルース

107万円で販売されている、1.07カラットのダイヤモンドルース

投資用ダイヤモンドの入手方法

投資用のダイヤモンドルースや原石は、以下のような場所で購入できます。

○投資用ダイヤモンドの購入場所
・宝石店
・ジュエリー系の通販ショップ
・ECサイト
・通販アプリ
・ネットオークション など

ダイヤモンドの関連株式に投資をしたい場合は、取扱銘柄を確認した上で証券会社や銀行などの金融機関を利用しましょう。金融機関によっては、海外の関連銘柄やETF、投資信託などに投資することもできます。

カラット数別のダイヤモンドの必要資金

投資用ダイヤモンドは高額なものが多く、1.0カラットでは50~70万円の資金が必要になります。ほかの資産に比べると必要資金がやや高いため、計画的に投資をしなければなりません。

カラット数必要資金の目安
0.3カラット5~10万円
0.5カラット15~30万円
0.8カラット40~60万円
1.0カラット50~70万円
2.0カラット100万円以上

50万円以上の資金を用意することが難しいならば、0.5カラット以下の小さなダイヤモンドから検討してみましょう。

ダイヤモンド投資と金投資の違い

投資対象になる実物資産としては、貴金属である「金」も有名です。では、ダイヤモンド投資と金投資にはどのような違いがあるのでしょうか。

主な違いダイヤモンド
産出地ロシア、ボツワナ、カナダなど中国、オーストラリア、ロシアなど
埋蔵量正確な数値は非公表約54,000トン
査定のポイント重さ、輝き、色合い、透明度重さ、純度
相場の変動金よりは変動が少ない毎日変動する
積立投資難しい容易

金は大まかな埋蔵量が公開されており、色合いや透明度などに違いがないため、安定した実物資産として人気です。ただし、ダイヤモンドに比べると相場変動が激しいため、こまめに価格をチェックする必要があるでしょう。

一方、ダイヤモンドは色やサイズ、品質によって価格が異なりますが、相場が安定しているので中長期の投資に向いています。

ダイヤモンド投資のメリット

ダイヤモンド投資には、ほかにもさまざまな特徴があります。ここではダイヤモンド投資のメリットを紹介しますので、ほかの資産と比較しながら確認していきましょう。

50年以上の実績がある

ダイヤモンド投資には、過去50年で価格を10倍以上に伸ばしたという実績があります。景気や経済ショックの影響を受けにくく、変動が少ない実物資産としてプラス成長を続けているため、中長期で保有する資産としてはぴったりでしょう。

ダイヤモンド投資の中でも、カラット数が大きくて見た目もきれいなダイヤモンドルースは安定して価格が上昇しています。資産防衛の側面があり、また分散投資の選択肢の1つとしてダイヤモンド投資は魅力的なのです。

細かいメンテナンスが不要

ダイヤモンドは硬度が高い宝石であり、傷がつくリスクはほとんどありません。日光による色あせにも強いため、初心者でも品質を落とさずに保管できるでしょう。

ただし、一定方向から強い衝撃が加わると、一部が欠けてしまうこともあります。持ち運ぶと紛失や盗難のリスクもあるので、投資用のダイヤモンドは厳重に保管するようにしましょう。

高額なものでも登記の必要がない

ダイヤモンドは取引金額に限らず、所有についての登記が必要ない資産です。法定報告要件の対象外なので、例えば親から子にダイヤモンドルースを譲る場合であっても、贈与税を支払うことなく資産を移転できます。

一方で、金や地金などの貴金属については、取引金額が200万円を超えると支払調書の作成が必要になります。もちろん、利益に応じた税金(一律20.315%)も支払うことになるので、売却価格がそのまま利益になるわけではありません。

ダイヤモンド投資のデメリットや注意点

ダイヤモンド投資は必ず儲かるものではなく、場合によっては損をするリスクもあります。ここからは、初心者が特に押さえておきたいデメリットや注意点を見ていきましょう。

鑑定機関にもこだわる必要がある

ダイヤモンドの査定結果は、「どこが鑑定したのか?」によっても変わります。品質評価基準の中でもカラーとクラリティは判断が難しく、鑑定先によって結果が異なることもあるため、基本的には以下のような信頼性のある機関が鑑定したものを選びましょう。

○信頼性の高い鑑定機関の例
・AGTジェムラボラトリー(日本)
・中央宝石研究所(日本)
・米国宝石学会(アメリカ)

宝石類の鑑定機関は、製品に付属する鑑定書に記載されています。ネット通販やオークションで購入する場合は、「○○(機関名)鑑定書付属」のように記載されているため、製品ページを細かくチェックしましょう。

詐欺被害に遭うリスクがある

ダイヤモンドなどの宝石類を購入する際には、以下のような宝石詐欺に遭わないように注意する必要があります。

○宝石詐欺の例
ボイラールーム:ウェブサイトへのリンクを使って、偽製品の購入を促す手口。
ポンジ・スキーム:専門家を謳って投資家から資金を集めようとする手口。
ファイナンシャル・セキュリティ:資産としての有用性をアピールし、資金を集めてから撤退する手口。

上記のほか、知識が乏しい観光客を狙った「ツーリストトラップ」や、精巧な偽製品を売りつける手口などもあります。当然ですが、偽物のダイヤモンドには資産価値がほとんどないため、販売元の信用性には細心の注意を払いましょう。

ダイヤモンドは投資用資産としての価値がある宝石

ダイヤモンドは景気の影響を受けにくく、50年かけて価値を10倍以上に伸ばした実績のある宝石です。資金を用意すれば購入も難しくないため、投資用の資産として高い魅力があります。

ただし、ダイヤモンド投資を成功させるには、購入する商品やタイミングを判断するための情報が必要です。専門的な知識がなくても始められますが、人気商品や全体の相場はこまめにチェックすることを心がけ、詐欺に遭わないようにリスク対策を忘れないようにしましょう。

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