この記事は2022年12月28日に「月刊暗号資産」で公開された「米検察当局、FTXから不正流出した暗号資産の捜査を開始」を一部編集し、転載したものです。
暗号資産(仮想通貨)取引所FTXが米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用申請を行ってから数時間後に発生した暗号資産の不正流出事件について、米連邦検察当局が捜査を進めていることがわかった。28日、Bloombergが事情に詳しい関係者の話として報じた。
この事件ではおよそ3億7200万ドル(約505億円)相当の暗号資産が不正流出の被害に遭ったとされている。
Bloombergによると、米司法省は電信詐欺や証券詐欺など8つの罪で起訴されたFTX元CEOのサム・バンクマン・フリード(Sam Bankman-Fried)被告の事案とは別に、盗まれた資産について刑事捜査を開始したという。
事情に詳しい関係者によれば、米当局は不正流出した資金の一部を凍結することに成功したという。しかし、凍結された資産は全体のごくわずかに過ぎないようだ。
この不正流出事件については、現時点で内部の者による犯行なのか、それとも外部ハッカーによるものなのか明白になっていない。こうしたサイバー犯罪はコンピューター詐欺に関連する罪に問われ、有罪が確定すれば最大10年の懲役となる。
サム氏の辞任を受け、FTXの暫定CEOに就いたジョン・J・レイ(John J Ray)氏は先月12日、FTXがチャプター11を申請したのと同じ「11日に不正アクセスがあった」と明らかにしている。
この捜査は、デジタル資産の捜査に焦点を当てた米司法省、検察官のネットワークであるNational Cryptocurrency Enforcement Team(NCET)が主導しているという。
破産申請の際に提出された書類によると、ハッカーがFTXから盗み出した金額は3億7200万ドル。当局が特定のプラットフォームで資金を凍結できたのは、同プラットフォームの法執行機関より協力を得て実現したものだと関係者は確認したという。しかし、オフショア市場の取引所では必ずしも同じ協力を得られるとは限らないようだ。
先月20日、ブロックチェーン分析会社Elliptic ConnectがFTXのウォレットから流出した暗号資産を追跡したところ、大部分が分散型取引所(DEX)を通じてイーサリアム(ETH)に交換されたと明らかにしている。
また、ブロックチェーンアナリストのZachXBT氏はTwitterで流出した資産を追跡しており、ハッカーがミキシングサービス「ChipMixer」を利用して資金洗浄を始めたことを指摘している。(提供:月刊暗号資産)