この記事は2023年1月18日に「月刊暗号資産」で公開された「国税庁、NFTやブロックチェーンゲームに関する税務上の取り扱いを明確化 」を一部編集し、転載したものです。


NFT
(画像=denisismagilov/stock.adobe.com)

国税庁は13日、国内におけるNFT(非代替性トークン)に関する税務上の取り扱いについて、質疑応答形式で取りまとめた報告書を発表した。これまで曖昧になっていたNFTの税務上の取り扱いについて方針を明確化した形だ。

NFTについては、ブロックチェーン上で、デジタルデータに唯一の性質を付与して信憑性を担保する機能や、取引履歴を追跡できる機能を持つトークンとしている。

報告書によると、デジタルアートを制作し、そのアートが紐づけされたNFTを譲渡したことで得た利益は所得税の対象となり、区分は雑所得となる。法人の場合は事業税が区分となる。

なお、利益からNFTに係る必要経費は差し引くことが可能だ。NFTを作成して知人に無償で贈与した場合についても課税は生じないとしている。さらに、国外の居住者がNFTを作成して日本のマーケットプレイスで譲渡し、利益が得た場合は原則として日本の所得税の課税対象とはならないとした。

一方で、日本の居住者が世界各国のマーケットプレイス等でNFTの売買をして利益を得た場合は課税対象となる。また、二次販売で得た利益は所得税の対象となる。その場合、NFTの転売収入による利益から、そのNFTの取得費、譲渡に係る費用や特別控除額を差し引くことができる。総合課税の譲渡所得の特別控除額は50万円としている。

また、第三者の不正アクセスによりNFTが消失した場合の税務上の取り扱い措置についても発表した。そのNFTが生活で通常必要でない資産や事業用資産等に該当せず、さらにNFTの消失が盗難に該当する場合は、雑損控除の対象になるという。そのNFTが事業用資産等に該当する場合、損失については、事業所得あるいは雑所得の必要経費に算入することが可能だとしている。その額は、そのNFTが消失した時点の時価となる。

役務提供の対価として取引所が発行するトークンを取得した場合は、請負契約の場合は雑所得、雇用契約の場合は給与所得に区分されるという。また、商品購入の際、購入先の法人が発行するトークンを無償で得た場合は所得税の課税対象になるとしている。

ブロックチェーンゲームの報酬としてゲーム内通貨を得た場合も課税される。その場合、ブロックチェーンゲームの必要経費は引くことができる。

消費税についても明確化しており、NFTを作成し、日本の消費者に販売して利益を得た場合は、電気通信利用役務の提供に当たるとして作成者に消費税が課せられるとしている。また、NFTの転売を国内の事業者が事業として行っている場合には、消費税が課せられると説明している。(提供:月刊暗号資産