この記事は2023年1月19日に「月刊暗号資産」で公開された「米CoinDeskが事業売却を検討 親会社傘下のジェネシスは破産申請か」を一部編集し、転載したものです。


CoinDesk
(画像=Timon/stock.adobe.com)

米暗号資産(仮想通貨)メディア・コインデスク(CoinDesk)が全ての事業、もしくは一部の売却を検討していることがわかった。18日、ロイターなどが報じた。

報道によると、アドバイザーとしてファイナンシャル・アドバイザリー・サービスなどを提供する投資銀行のラザード(Lazard)と契約したという。

コインデスクのCEOであるケビン・ワース(Kevin Worth)氏はロイターに対し、「過去数ヵ月間で、コインデスクに関心を示す兆候がみられている。ラザードを雇う目的は、コインデスクの事業を部分的、あるいは完全な売却や、成長資本を引き付けるための様々なオプションを模索するためだ」と語った。

コインデスクは2013年にニューヨークを拠点として立ち上げられた。昨年11月に破綻した暗号資産取引所FTXが破綻する直前、同取引所の関連企業であるアラメダ・リサーチ(Alameda Research)の財務状況に関して報じたことでも知られる。現在は暗号資産に特化したベンチャーキャピタル企業のデジタル・カレンシー・グループ(Digital Currency Group:DCG)が保有している。

一方で、FTX崩壊の余波はコインデスクの親会社デジタル・カレンシー・グループにも及んでいる。同社の子会社で暗号資産レンディングサービス等を手がけるジェネシス(Genesis)が、今週にも米連邦破産法第11条(チャプター11)の申請を行う可能性があるとBloombergが報じた。

ジェネシスはすでにサービスを停止しており、従業員の30%を解雇した。同社は債権者に30億ドル(約3,840億円)以上の負債があるともいわれている。投資銀行モーリスとアドバイザリー契約を締結し、様々な選択肢を検討しているが、現時点で外部からの資金調達は厳しい状況であるという。

親会社のデジタル・カレンシー・グループは暗号資産運用企業グレースケール(Grayscale)も保有しており、世界各国で様々な暗号資産関連事業を展開している。デジタル・カレンシー・グループは昨年6月に破綻した暗号資産ヘッジファンドのスリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital:3A)に対する巨額融資によって損失を被ったジェネシスの負債11億ドル(約1,410億円)を引き受けたことで、一部資産の売却を検討していると報じられている。

また、流動性を確保するため、同社は四半期配当の支払を停止することを株主に伝えた。営業費用削減と流動性の確保によるバランスシートの強化に注力するとしている。

デジタル・カレンシー・グループの創業者兼CEOであるバリー・シルバート(Barry Silbert)は株主への書簡で、「この1年間は個人的にも仕事上でも私の人生で最も困難な年であった。悪意ある人物や主要な暗号資産企業の破綻が爆弾となり業界に混乱を引き起こした。人員削減を含む積極的なコスト削減を行うなど正しい方法で物事を行うことに集中する」と述べていた。(提供:月刊暗号資産