この記事は2023年1月26日に「月刊暗号資産」で公開された「米サークル、株式上場計画の解消はSECに原因があると言及」を一部編集し、転載したものです。


米証券取引委員会,SEC
(画像=daniel0/stock.adobe.com)

米ドルに裏付けられたステーブルコイン・USDコイン(USDC)を発行する米サークル(Circle)社は25日、特別買収目的会社(SPAC)のコンコード・アクイジション・コーポレーション(Concord Acquisition Corp)と合併してニューヨーク証券取引所に上場する計画が解消した原因はSEC(米証券取引委員会)にあると非難した。25日、Financial Timesが報じた。

サークルによれば、暗号資産市場の混乱によって上場計画が解消したのではなく、同社が提出したForm S-4をSECが有効であると宣言しなかったため、取引契約の満了前に合併ができなかったという。Form S-4とは、企業が株式を市場で公開する際、SECに提出する届出書だ。

この計画についての合併案は2021年7月に発表された。当初、バークレイズの元CEOであるボブ・ダイヤモンド(Bob Diamond)氏が設立した特別買収目的会社のコンコード社と2022年11月までに合併して上場することを計画していた。

しかし、契約書に記載されていた期限内にSECが届出書を有効と認める可能性が限りなくなったことで、両社は株式上場を断念した格好だ。

昨年は市況が芳しくなかったことに加え、暗号資産(仮想通貨)取引所FTXの倒産など、業界の有力企業が相次いで倒産した。それでも、サークル社は業績について「2022年第3四半期の収益と準備金金利収入の合計は2億7400万ドル(約355億円)、純利益は4300万ドル(約55億円)になり、黒字化した」と説明している。また同時に、4億ドル(約520億円)近い、使途を特定されていない現金残高があるとも記載していた。

サークルはFinancial Timesに対し、「SECの登録手続きが迅速かつ容易に行われるとは思っていなかった」と述べ、登録に時間を要することは予想の範囲内であったことをうかがわせた。また、「我々は新しい業界の新しい会社だ。2021年8月にSECへ書類を提出してから合併が終了するまでの15ヵ月間で我々の事業が急拡大したことを踏まえると、SECが徹底的で厳格な審査プロセスを持つことは必要であり、適切かつ合理的だ」と続け、SECの対応を一部受け入れる姿勢も見せた。

この問題に詳しい人物によれば、FTXの破綻を受け、SECは暗号資産関連企業の承認をすることが不可能な状態になったという。

なお、サークルの広報担当者は、SECを非難するつもりはなく、上場計画の解消はあくまでも契約期間に達し、同意のもと行われたものだと強調している。(提供:月刊暗号資産