この記事は2022年1月27日に「月刊暗号資産」で公開された「格付け企業ムーディーズ、ステーブルコインの評価システムを開発か」を一部編集し、転載したものです。


ネット銀行,格付け
(画像=Tierney/stock.adobe.com)

大手格付け企業ムーディーズ(Moody’s)が、ステーブルコインのリスクと健全性をスコアリングする方法を検討していることがわかった。27日、Bloombergが報じた。

ムーディーズはスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)と並び株式公開企業の信用格付けを行う世界2大格付け会社の1つだ。報道によると、ムーディーズは準備資産の証明レベルに基づき、最大で20種類のステーブルコインを評価するシステムを開発しているという。

Bloombergに対し関係者は、「まだこのプロジェクトは初期段階であり、公式の信用格付けを公表するには時間がかかるのではないか」と述べたという。

ステーブルコインには複数のタイプがあるものの、テザー(USDT)など裏付け資産に基づき法定通貨等と連動するものについては準備資産として現金やその他金融資産等を保有している。しかし、実際にプロジェクト側が準備資産を保有しているかどうかについては不透明な点もある。

実際、2021年2月には、テザーの準備資産を巡りニューヨーク州司法当局がテザーを発行するTether社と関連会社である暗号資産取引所ビットフィネックス(Bitfinex)に対して、顧客への説明が虚偽だったとして1850万ドル(約24億円)の罰金を科した。その後、テザー社は運営の透明性を証明する目的で四半期に1度、準備資産や取引に関する報告を行っている。

昨年5月にアルゴリズム型ステーブルコイン・テラUSD(旧UST)の価格が崩壊したことにより、各国の規制当局はステーブルコインに対する監視を強めている。日本においても昨年6月に初となるステーブルコイン規制を盛り込んだ改正資金決済法が可決、成立しており、今年中にも施行される予定だ。

また改正資金決済法の施行に伴い、金融庁はガイドラインを定め、海外事業者が発行するステーブルコインの国内流通を解禁する意向だと昨年12月に報じられている。(提供:月刊暗号資産