この記事は2023年1月30日に「月刊暗号資産」で公開された「米バイデン政権、議会に対し暗号資産の規制整備に向けた努力を要請」を一部編集し、転載したものです。
米ホワイトハウスは27日、暗号資産(仮想通貨)の規制整備を目的に関連当局の権限を拡大するよう議会に要請した。
「暗号資産のリスクを軽減するための行政のロードマップ」と称された発表では、バイデン政権における4人の高官が議会に対して規制整備に向けた努力を呼びかけた。
また明記はしていないものの、昨年発生したテラエコシステムの崩壊や、スリーアローズキャピタル(Three Arrows Capital)、FTX等の破綻についても触れ、一般投資家が大きな損失を被ったと指摘した。こうした状況を踏まえ、バイデン政権は金融の安定を目的に投資家保護や悪質業者の責任を追及し続けることに重点を置くと表明した。
発表ではバイデン大統領の指示のもと、政権がこれまでに暗号資産関連のリスクを軽減させる様々な行動をとってきたと強調している。
バイデン政権では昨年3月に暗号資産やその他デジタル資産市場の安定化を目的とした大統領令に署名している。この大統領令ではマネーロンダリング対策や金融包摂および公平性に注視する姿勢が打ち出されており、消費者や投資家、さらにはビジネス保護に向け強力な措置を講じる必要があると言及されていた。
また、米政府は現在、暗号資産の購入に関するリスクを消費者が理解できるように啓蒙プログラムを立ち上げ開発していると明らかにした。政府として今後も金融機関が暗号資産を含むデジタル資産に関連したリスクにさらされることを抑制するために、規制当局による取り組みを継続して行うよう推奨していくとしている。さらに、今後数ヵ月の間にデジタル資産の研究開発に関する優先事項を発表する予定だという。これは暗号資産に関する技術がデフォルトで消費者を保護することに役立つものだと強調している。
こうした政府の取り組みに関連し、議会も規制整備に関する努力を強化する必要があると指摘した。具体的には、顧客資産の不正流用や利益相反を防ぐために、議会は規制当局が持つ権限を拡大する必要があると述べた。
また、投資家が財務リスクや環境リスクについてより多くの情報を得た上で判断できるよう、暗号資産関連企業の透明性や開示要件を強化することも必要だと付け加えている。
これらのほか、不正資金規制違反に対する罰則強化や暗号資産仲介業者に対して犯罪者への情報提供を禁止すること、そしてステーブルコインを含む暗号資産が金融システムに与えるリスクを制限することも検討しなければならないとした。
さらに、「年金基金のような主流金融機関が暗号資産市場に真っ向から飛び込むことを容認してはならない」と言及。暗号資産と広範な金融システムの結びつきを深めるような法案を制定することは「重大な誤りだ」と述べた。
それでも、米政府は「金融サービスをより安く、速く、安全に、そしてより身近にする責任ある技術革新を心から支持する」とし、そのためにも適切なセーフガードを導入する必要があると記載した。セーフガードの導入に向け、今後も議会と協力していくと述べている。(提供:月刊暗号資産)