この記事は2023年1月31日に「月刊暗号資産」で公開された「米決済企業ストライプ、1年以内に上場を検討」を一部編集し、転載したものです。


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(画像=PIXTA)

米オンライン決済企業のストライプ(Stripe)が、1年以内に上場することを検討していることがわかった。26日、CNBCなど複数のメディアが報じた。

報道によると、CEOのパトリック・コリソン(Patrick Collison)氏と弟で共同創業者のジョン・パトリック(John Collison)氏が、今後12ヵ月以内に株式公開するか、従業員が非公開市場で保有株を売却できるようにするかを決める。同日、従業員にこの内容を伝えたという。

関係者によれば、米ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースの助言を受け、今後の方針を検討しているようだ。なお、株式公開を行う場合は新規株式公開(IPO)ではなく、ダイレクトリスティング(直接上場)になる可能性があるという。

世界的に新規株式公開は景気に陰りが見え始めてきた2021年後半頃より減少傾向にある。景気状況に影響を受けやすいテック系企業においても同様のことが言え、ストライプも例外ではない。

2021年3月に資金調達した際のストライプの評価額は950億ドル(約10兆2,360億円)であったが、その後テック系企業の株価急落の影響が及んだ。昨年7月には、評価額を950億ドルから740億ドル(約9兆6,000億円)へと28%引き下げている。さらにThe Informationによれば、今月に入り評価額は630億ドル(約8兆2,000億円)ほどに下がったとしている。

2010年に設立されたストライプは、新型コロナウイルスの感染拡大時期に収益が急増した。しかし、昨年は利上げやインフレ等の影響を受け、従業員の約14%を解雇している。新規株式公開に向けた結論を拙速に出さない背景には、企業の安定化に向け戦略を慎重に検討していることもあるだろう。

年間6400億ドル(約83兆円)以上の決済処理を行うとされるストライプは、暗号資産(仮想通貨)領域にも進出している。昨年にはNFT(非代替性トークン)や暗号資産に関するサポート対応を発表した。また、Twitter上で得られた収益を暗号資産で受け取ることを可能とする試験プログラムもローンチしている。(提供:月刊暗号資産