【円安はいつまで続く?2026年ドル円相場展望】
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

2025年の為替市場は、トランプ政権の誕生により大きく揺れ動きました。円安が進行する中、物価上昇への懸念が高まる一方で、企業収益や税収は過去最高水準を記録しています。果たして円安はいつまで続くのか、そして2026年の為替相場はどうなるのか。今回は、長年にわたり為替市場の最前線で活躍してきたFX湘南投資グループ代表の野村雅道氏をお招きして、ドル円相場や高金利通貨の今後の動向について聞きました。

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2025年は「不確実性の年」

2025年の為替市場は、トランプ政権の誕生により大きく揺れ動いた一年となりました。野村氏は「今年のような年はこれまでなかった」と振り返ります。市場の不確実性が高まり、資金がアメリカから流出する動きが顕著になったと分析しています。

主要12通貨を比較すると、円とドルは共に最下位レベルの争いをしており、両通貨とも弱い状況にあります。日本では「ドル高・円安」と報道されることが多いですが、グローバルな視点で見ると、ドルも決して強い通貨とは言えない状況です。

円安のメリットを再評価すべき

現在のドル円相場は157円台で推移していますが、野村氏は円安を一方的に悪いものと捉える風潮に疑問を呈します。

●円安がもたらす経済効果

・企業収益が過去最高水準に到達
・税収が40兆円から80兆円へと倍増
・対外純資産530兆円の評価益が増加
・GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外貨資産130兆円も増加

野村氏は「9割くらいはメリットではないか」との見方を示しています。主な課題は物価上昇ですが、これについては政府が外貨準備の運用益(年間約8兆円)を活用して国民に還元する施策を検討する余地があるとの見解を示しています。

円安の主な要因

●貿易収支の構造変化

多くの専門家が金利差を円安の主要因として挙げる中、野村氏の見解は異なります。最大の要因として、2011年の東日本大震災後、原発が全停止したことで、30年連続で続いていた貿易黒字が貿易赤字に転じたことを指摘しています。

原発停止により、原油や天然ガス(LNG)の輸入量が急増し、構造的な貿易赤字が長期的な円安圧力の基盤となっているという分析です。

●NISA制度による資金流出

もう一つの大きな要因として、NISA制度による外貨投資の急増が挙げられます。2024年は28兆円、2025年5月以降も20兆円の外貨建て投資の買い越しとなっており、この資金流出が円安圧力を強めていると考えられます。

野村氏は「基本的には低金利通貨ほど強く、高金利通貨ほど弱いという傾向がある」と説明します。スイスフランやユーロが相対的に強い動きを見せていることが、この理論を裏付けているとしています。