この記事は2023年2月10日に「月刊暗号資産」で公開された「米SEC、クラーケンを証券法違反で提訴 ステーキングサービスの提供を問題視」を一部編集し、転載したものです。
米SEC(証券取引委員会)は9日、未登録証券の提供を行なった証券法違反で大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)を提訴したと発表した。
発表によると、クラーケンが提供していたステーキングサービスは証券法に基づき登録が必要なものであったとSECは主張している。
クラーケンはすでに米国ユーザー向けのステーキングサービスを停止することや、罰金および同サービスを通じて得た利益等を含めた3000万ドル(約39億5,000万円)を支払うことに同意しており、両者は和解した。
SECによれば、クラーケンは2019年以降、投資家から特定の暗号資産を集め年利21%におよぶステーキングサービスを提供していたと指摘する。またそれに伴い、投資家は預け入れた暗号資産を自身のコントロール下に置くことができず、プラットフォームに対するリスクを背負う形になっていたと説明した。
そして、クラーケンのステーキングサービスは同取引所の努力により利益を得ることができると投資家が判断し利用されていたことから、証券法における投資契約に当たると主張した。
SECのゲリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は発表で、「ステーキングサービスや暗号資産の貸出、またその他の手段にしても、仲介者は投資家のトークンと引き換えに投資契約を提供する場合、証券法が定める適切な開示とセーフガードを提供する必要がある」とコメント。さらに、「本日の措置はステーキングサービスを提供する事業者らが完全で公正かつ真実を開示すること、そして投資家保護の目的から証券法を準拠しなければならないことを市場に対して明確にした」と付け加えた。
SECがクラーケンを提訴する可能性については、Bloombergが9日に報じていた。
Bloombergは、SECの調査は進んだ段階にあり、数日以内に和解に至る可能性があると報道。クラーケンが和解した場合、SECは他の暗号資産取引所にも同様の同意を迫り攻勢を強める可能性があると指摘している。
SECは多くの暗号資産について、当局の規制が適用されるべき証券だと繰り返し指摘してきた。今回はステーキングサービスそのものが証券法に違反したとみなされたが、ゲンスラー委員長は昨年、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)をコンセンサスアルゴリズムとして採用している暗号資産について、「証券規制の対象になる可能性がある」と言及している。
そのほか、大半の暗号資産が証券法に分類される可能性があるとし、投資家が第三者からリターンを得ることに対し期待しているかを判断する「Howeyテスト」を行う必要があると指摘していた。(提供:月刊暗号資産)