この記事は2023年2月15日に「月刊暗号資産」で公開された「NY州金融サービス局、バイナンスUSDの発行停止について説明 パクソスは認めない姿勢」を一部編集し、転載したものです。
NYDFS(米ニューヨーク州金融サービス局)は13日、ステーブルコインの発行等を行うパクソス(Paxos)に対しバイナンスUSD(Binance USD)の発行を停止するよう命じたことについて声明を発表した。
パクソスがNYDFS監督下の有限目的信託会社であると強調した上で、バイナンスUSDに関する暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスとの間にあるいくつかの未解決の問題が多いことを踏まえ、今回の決定に至ったと説明した。
また、NYDFSはイーサリアムチェーン上でのバイナンスUSDの発行は認めているものの、その他のチェーンの発行は許可していないと主張した。さらに、パクソス側の管理体制の不備やリスク面での再評価、バイナンス側のデューデリジェンス義務に関して違反が見られるとし指摘している。
なおパクソスは13日、NYDFSによる命令を受け、バイナンスUSDの新規発行を停止すると発表。バイナンスUSDの新規発行を今月21日に終了し、バイナンスとの関係も解消すると明らかにした。
パクソスは発表で、これまでNYDFSの監督下で四大会計事務所の監査も受けるなど、顧客資産の安全性を最優先にしてきたと述べている。バイナンスUSDの準備金の管理についても2024年2月まで行い、パクソスドル(USDP)への交換にも対応するという。
パクソスは同日、別の発表を通じて、バイナンスUSDが連邦証券法に基づく有価証券に該当するという米SEC(証券取引委員会)の主張は断固として同意できないと反論した。その上で、パクソスは問題解消に向けて必要であればSECを訴訟する用意があると説明している。
一連の発表を受け、バイナンスのCEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏は、バイナンスUSDが「パクソスによって完全に管理・所有されている」と強調。時間が経つごとに「バイナンスUSDの時価総額は減少していくだろう」と述べた。
さらに、バイナンスUSDのサポートは継続するものの、「ユーザーは他のステーブルコインに移行することだろう」と付け加えている。(提供:月刊暗号資産)