雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回った。米労働市場は引き続きタイトだ。インフレ指標が改善しない限り、FRBの政策金利引き上げトレンドが継続し、金融市場はリスク回避の株売りになる可能性がある。
米2月雇用統計、非農業部門雇用者数が11カ月連続で市場予想を上回る
3月10日米国時間朝8時半(日本時間22時半)、注目の米2月雇用統計が発表された。
米国の労働市場を判断するデータとして重要視されている非農業部門雇用者数(NFP)は、31.1万人増と市場予想の20.5万人を大きく上回った。経済再開で雇用が急回復した2022年の大幅増からは低下傾向だが、11カ月連続で市場予想を上回っている。予想以上に労働市場がタイトで、人手不足が解消されていないためである(図1)。
米連邦準備制度理事会(FRB)は高インフレの抑制を一番の政策と考えており、景気動向よりもインフレ動向を注視している。足元で消費者物価指数(CPI)などインフレ指標の改善が一服している状況であり、FRBのパウエル議長は3月7日の議会証言で利上げに対して積極的に取り組むとの“タカ派発言”をした。同日、政策金利と連動性の高い2年債利回りは5%台、景気動向と連動性の高い10年債利回りは4%台に急騰した。金利上昇を嫌気してNYダウは3月7日以降4日続落で1,500ドル以上下げた。市場は金利の上昇に非常に敏感になっており、景気の強さを表す経済指標は、FRBの利上げ余地が生まれることから基本的には株売り材料となっている。