イヴケア(大津市)は滋賀大学発の毛髪を用いたストレスチェックサービスを提供するヘルスケアベンチャー企業。五十棲計社長兼最高経営責任者(CEO)が同大大学院教育学研究科在籍中の2019年1月、同大の大平准教授と連携し、同大の大学発ベンチャー第1号企業として立ち上げた。

毛髪に刻まれたホルモン量でストレスチェック

五十棲CEOは同社のビジネスプランで2018年7月に滋賀テックプラングランプリのパナソニックアプライアンス社賞を受賞。同7月のバイオテックグランプリでも日本ユニシス賞と竹中工務店賞を受賞するなど、起業前から注目されていた。

外部からストレスを受けると、血中に分泌されるコルチゾールなどのストレス関連ホルモンを毛細血管から取り込みながら毛髪が伸びる。そのため毛髪の根本から毛先にかけてのホルモンの量を測定することで、中・長期的なストレス度を評価できるという。

ストレス関連ホルモンは血液や唾液、尿からでも検出できるが、その時点での結果にすぎない。中長期的な時系列で測定するには、何度も同様の検査する必要がある。毛髪ならばその時その時のホルモン量が順番に刻まれているため、1回の検査でホルモン量の変異が判明する。

同社のサービスでは、利用者に測定キットを送付。利用者から返送された毛髪を測定すると同時に、オンラインでのアンケートの結果と突き合わせて、2週間程度でストレスチェックの結果を通知する。

健康状態のモニタリングだけでなく、データをもとに個々人に合ったメンタルヘルスケアからアフターケアまでのトータルサポートを提供するなど、手厚いサービスで企業の健康経営ツールとして役立つ。

そのほかにも毛髪によるストレス評価技術を活用して商品やサービスのストレス軽減効果を立証するサービスや、毛髪に含まれる物質と疾患・生活習慣との関連性を探る共同研究事業などのBtoBビジネスにも力を入れている。

2022年5月には小中高校生向けの実験教室や出前授業などの教育サービス、人材教育商品開発などを手がけるリバネス(東京都新宿区)から、同社子会社のリバネスキャピタルを通じて出資を受けた。

イヴケアは「優しい眼差しに満ちたWell-beingな社会を実現する」をビジョンに掲げ、社会全体がもっと元気で幸せになるためのサービスを拡充していく方針だという。

文:M&A Online