カー用品チェーン大手のオートバックスセブン<9832>とイエローハット<9882>の2023年3月期の業績が当初予想よりも上振れしそうだ。

両社は2023年第3四半期の業績が好調だったが、2022年5月に発表した業績予想を修正していないためで、第4四半期に急ブレーキがかからない限り業績予想よりも利益が膨らみそう。

新型コロナウイルス感染症の拡大や、原材料やエネルギー価格の上昇が続くなど厳しい環境下にあったが、カー用品事業はコロナ禍前の状況に取り戻しつつある。

減益予想から増益へ

オートバックスセブンの2022年3月期第4四半期は売上高566億4900万円、営業利益は27億4800万円だった。2023年3月期が業績予想のままの数字で着地すると、同第4四半期の売上高は518億5900万円、営業利益は1億8900万円となり、大幅な減収減益となる。

2023年3月期の第4四半期はコロナ感染者数が減少傾向にあり、マスクの着用が個人の判断に委ねられるなど日常を取り戻しつつあり、この期が大きく落ち込む要因が見当たらない。このため、前年同期と同じ数字を当てはめると売上高は2347億9000万円、営業利益は125億5900万円となり、売上高は当初予想の0.6%の増収から2.7%の増収に、営業利益は13.4%の減益から8.7%の増益となる。

過去最高の更新も

一方、イエローハットの2022年3月期第4四半期は売上高347億8200万円、営業利益30億3000万円だった。2023年3月期が業績予想のままの数字で着地すると同第4四半期の売上高は391億8400万円、営業利益は15億9900万円となり、売上高は前年同期実績よりも上回るものの、営業利益は半分ほどに留まる。 

オートバックスと同じように前年同期と同じ数字を当てはめると2023年3月期の売上高は1475億9800万円、営業利益は159億3100万円となり、売上高は当初予想の2.7%の増収か0.3%の減収となるものの、営業利益は2.9%の増益から11.3%の増益となる。

同社は2023年3月期第3四半期に、営業利益、経常利益、当期利益が15-16%の増益となっており、全段階で過去最高を更新した。この流れに大きな変化がなければ通期でも過去最高を更新する可能性は高い。

コロナ禍後を見据えた動きも

自動車販売市場は半導体不足によって新車販売数の減少や中古車価格の上昇などが続いており、この影響でカー用品はタイヤなどの消耗品や既存車のメンテナンス需要が膨らんでいる。

オートバックスセブンは2023年4月に、システム開発、運用のABシステムソリューション(東京都江東区)を子会社化するため来期(2024年3月期)はこの売上高や利益も加わることなる。

イエローハットは、2020年10月に自動車整備、修理業の溝ノ口自動車(川崎市)を子会社化して以降はM&Aから遠ざかっており、日常が戻るにつれてM&Aが俎上に乗る可能性もある。

来期以降はコロナ禍後を見据えた動きも次第に活発化しそうだ。

文:M&A Online編集部