サーチファンドのGrowthix Investment(東京都中央区)は、「サーチファンド白書2022年度」版をまとめた。また同社では4月1日を「サーチファンド誕生の日」として申請し、日本記念日協会がこれを認定した。

白書をまとめた動機や、サーチファンドの記念日を申請した経緯などを、竹内智洋代表取締役にお聞きした。

金融機関とファンド運営会社の連携が増加

―サーチファンドに関する白書を作ろうと思った動機を教えて下さい。

我々はサーチファンドで事業承継問題を解決するという目標を掲げている。ただ、まだまだサーチファンドの認知度が低く、多くの人にサーチファンドのことをもっと知ってほしいという思いで、白書を作成した。

海外ではスタンフォード大学が出しているサーチファンドスタディというレポートが有名だが、日本ではサーチファンドの動向だとか、どういう企業がサーチファンドを運営しているのか、どういう人がサーチャーとして活動しているのかといった情報が一つにまとまっているものがなかった。

―2022年度の特徴は何でしょうか。

2022年度は5件のサーチファンドによる事業承継があった。サーチファンドによる事業承継は2019年度がスタートの年で、その年に2件の案件が成立した。その後は年間に2-4件の案件が成立しており、2022年度は最多となった。

―白書の中に2023年度は銀行とファンド運営者(GP)との連携が深まり、サーチファンドが増えるとの予測を載せていますね。

地方銀行だとか、地域に根付いている金融機関が事業承継問題を重要視しているのが背景にある。金融機関がファンドに社員を派遣してファンドを活用する事例はこれまでもあったが、3月に横浜銀行が発表したような外部のファンドと連携して事業承継問題を解決しようとの取り組みは新しく、今後こうした取り組みが増えるのではないかと考えている。

事実、我々もいろんな金融機関からファンド組成の話をいただいている。金融機関は事業承継に困っている企業は分かっているが、サーチャーをどのようにして探せばいいのか、投資したあと、どのようにその企業を伸ばせばいいのかといった点についてサポートしてくれるGPを探しているようだ。

わが社では現在4、5件の案件を検討しており、年内には金融機関と連携したサーチファンドを立ち上げられればと考えている。


スタンフォード大学が「4月1日」を提案

ー「サーチファンド誕生の日」という記念日を申請され承認されました。どういう経緯があったのでしょうか。

サーチファンドの生みの親であるスタンフォード大学のH.アーヴィング・グローベック教授の弟子で、同大のピーター・ケリー教授に「米国で作られたサーチファンドを日本に取り入れて、日本が抱えている事業承継問題の解決の糸口になるようにしたい。さらに事業承継問題を抱える国は日本だけではないので、事業承継問題が解決できる成功事例を日本で作りたい」という話をさせていただいた。

そのうえで、日本でサーチファンドを広めるためサーチファンドの記念日を作りたいとの希望を伝えたところ、いつサーチファンドが誕生したのかについてすぐには返事がなく、ケリー教授からは大学内で協議したいとの回答があった。

その後、何度かメールなどでやり取りをして数カ月経った時に、同大を卒業したジム・サザン氏から「サーチファンドのNova Capitalを世界で始めて立ち上げた4月1日を記念日としてはどうか」との提案があった。

―「サーチファンド誕生の日」を今後どのようにPRしていく予定ですか。

登録の連絡があったのが3月に入ってからだったので今年は時間がなかったが、来年は記念日を活用して「サーチファンド×事業承継」を広める施策を行いたいと考えている。また白書もこの日に合わせてPRしたい。同大が出しているサーチファンドスタディでは、日本のサーチファンドによるM&Aは累計で1件となっている。そのくらい日本のサーチファンドは世界に知られていない。今後白書はスタンフォード大学のケリー教授にもお送りするので、参考にしてもらえればと思っている。

文:M&A Online