「今期も工作機械を数件買収する。遠くない時期に発表できる」ニデック<6594>の永守重信代表取締役会長兼CEO(最高経営責任者)は、2023年4月24日に東京・大手町で開いた決算説明会で、こう明言した。
2031年3月期に1兆円の大台に
同社は2021年8月に三菱重工業の子会社で工作機械や切削工具を製造する三菱重工工作機械(現・日本電産マシンツール、滋賀県栗東市)を子会社化したのに続き、2022年2月に工作機械メーカーのOKK(現・ニデックオーケーケー、兵庫県伊丹市)を、さらに2023年2月にイタリアの工作機械メーカーPAMA S.p.A.(ロヴェレート)をそれぞれ子会社化した。
これら3社を集め、2023年4月1日に機械事業本部を新設。減速機、工作機械、プレス機を三本柱に事業の拡充に乗り出した。3社はいずれも買収当時は赤字であったが、現在は15%ほどの営業利益を上げているという。
同事業本部を構成する3社合計の売上高については2023年3月期に3000億円ほどだったのを2026年3月期に5000億円に、さらに2031年3月期に1兆円の大台を目指す。
この目標のため減速機は欧州に新生産拠点を設ける。現在、減速機のシェアは30%ほどで、2025年には50%に高める計画だ。工作機械も中国の深耕を目的に新工場を建設する。
またプレス機は、EV(電気自動車)向けなどの成長分野を強化する。周辺の装置も補強し小型高速機から大型機までを品ぞろえする。
こうした取り組みと並行して急成長に向けM&Aにも力を入れるもので、買収する工作機械の種類や買収対象企業の所在地などの詳細については明らかにしなかった。
2023年3月期は大幅減益に
ニデックの2023年3月期は売上高が前年度比16.9%増の2兆2428億2400万円で、初めて2兆円を超え、過去最高を更新した。
一方、利益の方は構造改革費用757億円を計上したことから、営業利益は同41.3%減1000億円に、税引き前利益は為替差益200億円を計上したことから同29.1%減の1205億円に、当期利益は法人所得税費用750億円を計上したことなどから同66.9%減の450億円になった。
2024年3月期は前年度に135円ほどだった為替レートを120円に変更したことから、売上高は2兆2000億円と前年度比1.9%の減少を見込む。利益は営業利益が前年度比2.19倍の2200億円、税引き前利益が同74.1%増の2100億円、当期利益が3.66倍の1650億円を予想する。
文:M&A Online